ウォラーFRB理事、利下げ遅らせるか回数減が適切-最近の統計受け
(ブルームバーグ): ウォラー米連邦準備制度理事会(FRB)理事は27日、最近の経済データでは年内に予想される利下げを遅らせるか、利下げの回数を減らすことが裏付けられると強調し、金利引き下げを急ぐことはないとの認識を示した。
ウォラー理事は最近のインフレ統計には「失望を感じる」と述べるとともに、利下げに踏み切る前に「少なくとも数カ月分の良い内容のインフレデータ」を目にしたいと語った。
インフレ率が2%の物価目標に向けた持続的な道筋にあるとの自信を得るまで、米金融当局には待つ余地があるとするさらなる理由として、力強い米経済や堅調な雇用情勢を指摘した。
ウォラー理事はエコノミック・クラブ・オブ・ニューヨークでの講演向けに準備した「まだ急ぐことはない」と題した講演テキストで、「最近のデータを受けて、私の見解では利下げの全体的な回数を減らすか、さらに先送りするのが適切だ」と話した。
「経済生産や労働市場には持続的な力強さが見られる一方、インフレ抑制の進展は減速している」とし、「こうしたサインを踏まえると、金融緩和開始の措置を急いで講じることは考えられない」と説明した。
ウォラー理事の発言をマーケットが消化したことで、米国債相場はアジア時間28日の取引で下落し、金融政策に敏感な米2年債利回りは約4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇した。トレーダーの間では米利下げ期待が後退し、2年債利回りは今年に入り35bp余り上昇している。
昨年7月に利上げして以降、政策金利を二十数年ぶりの高水準に据え置いている米金融当局では、今年のどの時期にどの程度金利を引き下げるか議論している。パウエルFRB議長は先に、こうした決定のタイミングは「極めて重要」であるとし、忍耐強くある必要性を強調している。
ウォラー理事は講演のタイトルも含め、「急がない(no rush)」という表現を4回使った。投資家の間では、米金融当局が6月に最初の利下げを行うとの観測がある。