古舘伊知郎の「プレゼンの極意」 修羅場を乗り越える「準備」と「捨てる覚悟」とは?
備えと準備の違い
イベントでの質疑応答では、参加者から「準備と“備え”との違い」について質問を受けた。 「自分の勝手な考えですが、備えは心持ちのこと、構えだと思います。備えるぞっていう自覚とか意識です。一番良くないのは、楽しい時に浮かれ、ダメな時にうなだれること。常に備えていれば平常心でいられます。一方、実際に作業を進める工程のことを、僕は準備だと思っています。走り出すと、もうそれは準備になるかなという感じがします。備えて怖がり、一生懸命に準備するしかないのかなっていう気がしますね」
準備しないと伝わらない
今回、印象的だったのは「準備したものを捨てる」ということ以上に「頭の中には(準備の)残滓が残っている」という古舘の言葉だった。プレゼンや商談の場では、相手に自分の意図や思いを正確に伝えなければ成果を上げられない。だが古舘のいう通り、ちょっとした間やタイミングがその場の空気を変えてしまう。そのような場では、話者本人の頭の中にある残滓こそが、本当に相手に伝えたかったことのはずだ。 商談でも、準備通りに話が進むケースはあまりない。クライアントが想定外の要求をしてくることもあるだろう。そのときに備えてあらかじめ準備をし、バックアッププランを提示できるかどうかに成否がかかっている。 結局、相手から信頼を勝ち得て成果をあげるために必要なのは、今も昔も準備に他ならない。 (武田信晃、アイティメディア今野大一)
ITmedia ビジネスオンライン