中尾ミエ×和田秀樹 若い時より年を取ってから成功したほうが良いと思うワケ。和田「上にばかり媚び、下を大事にしなかった人の最期を見てきた結果…」
総務省が公表した資料「統計からみた我が国の高齢者」によると、2024年の日本の総人口に占める65歳以上の割合は、200の国と地域の中で最も高いそうです。依然として高齢化が進むなか、精神科医・和田秀樹先生によると、「女性はむしろ年を取ってから意欲的になったり、人付き合いが盛んになったりする」とのこと。そこで今回は、78歳で女優や歌手として活躍する中尾ミエさんとの共著『60代から女は好き勝手くらいがちょうどいい』から一部を、お二人の対談形式でお届けします。 【書影】「やりたい放題」こそ、美と健康に一番効くサプリ!中尾ミエ、和田秀樹『60代から女は好き勝手くらいがちょうどいい』 * * * * * * * ◆人生は後半からが勝負 和田:どの年代のときに勝ち組だったかで、その人の生き方もかなり変わりますよね。20代はすごい勝ち組だったのに年を取るほどに落ち目になる人と、若い頃はそうでもなかったけれども年を取るほどに人気が出る大器晩成型みたいな人もいる。 どっちがいいかというと、やっぱり私は後者じゃないかなと思いますね。私も27歳くらいの頃に出した受験に関する本がベストセラーになったのですが、その後はあまり冴えなくて、結局、60代に入ってから『80歳の壁』という本がものすごく売れて、仕事が急に増えました。 こういう人生のパターンのほうが、きっと生き残りやすいのではないかなと思います。だから若い人たちも今すぐ売れたいとか、早く出世したいとか、あくせくするよりも、年を取ってから成功したほうが、その後の人生も長いから得だよと言ってあげたいですね。 中尾:でも、若い頃の特権というものもありますでしょう。今さえよければいいと思うのが若さでもあります。「そのときはそのとき」というように、年を取ったときのことなんかまず考えません。私も人生の後半について、切実に考えるようになったのは、60代になってからでした。
◆高齢者向け医学の先駆け 和田:私自身、先ほど申し上げたような人生観に変わったのは、浴風会(よくふうかい)病院という高齢者専門の病院が杉並区にあって、そこで働いた経験があったからです。 もともとは、関東大震災の際に家族を亡くし、介護など身の回りの世話をする人がいなくなってしまったお年寄りのための救護院として、皇后陛下(貞明<ていめい>皇后)の御下賜金をもとに作られた、日本初の公的な養老院が始まりでした。 稲田龍吉という旧東京帝国大学の教授が、そういう施設を作るならば、高齢者向けの医学・医療を日本にも確立しようと附属の診療所を設置しました。 当時の日本人の平均寿命は44歳くらいとされていますし、長生きできる人もそんなに多くはありませんでした。にもかかわらず、世界的に見ても老年医学がほとんどなかった時代に、あえてそうした施設を作ろうとした、稲田先生という人物の慧眼(けいがん)には、本当に驚きます。
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