選定療養費、徴収88件 茨城県、開始1週間 救急搬送15%減
茨城県主導で2日に始まった緊急性のない救急搬送患者から「選定療養費」を徴収する制度を巡り、県は10日、開始1週間で計88件の徴収があったと明らかにした。一方で、県内全体の救急搬送件数は前年同期比で約15%減少した。今後は月1回、関係機関で徴収事案などの情報を共有し、課題や改善点などを検証する。 同日、県議会保健福祉医療委員会で委員の質問に答えた。2~8日まで1週間の徴収状況などについて、参加する県内22の大病院から回答があったという。 いずれも速報値で、受け入れた救急搬送は計1527件、このうち選定療養費を徴収したのは5.8%の88件。高齢者が41件と半数近く、18歳未満の子どもは13件。徴収例は軽度の擦り傷や切り傷のみ、風邪の症状のみ、数日前から腰痛などで患者とのトラブルは確認されていない。徴収がなかったのは7病院だった。 また、県内全体の救急搬送件数は前年同期比で15.4%減の2586件だった。県担当者は、1週間の比較のため分析は難しいとする一方、制度導入に当たり救急車の適正利用などを周知した結果、「不要不急の要請が控えられた可能性がある」とした。 このほか、要請に迷った際の活用を呼びかける「救急電話相談」は、平日午後4~5時につながりにくいことが判明。同時間帯の回線数を現在の2回線から3倍の6回線に拡大して対応するという。 選定療養費は一般病床数が200以上の大病院を紹介状なしで受診した際にかかる追加料金。今回の制度は都道府県単位では初の取り組みで、適正利用により救急医療の逼迫(ひっぱく)を回避する狙い。県内大病院の約9割が参加する。 制度について月1回、検証を実施。徴収事案や対応に苦慮したトラブルのほか、要請控えで重症化したと考えられる事例や重症者の搬送が減少していないかなど、関係機関の会議で情報共有する。 来年2月まで3カ月分の検証結果をまとめ、本年度中に公表予定。県担当者は「しっかりと分析を行い、円滑な運用につなげたい」と話した。
茨城新聞社