選挙の「公示」「告示」の違いって何?【衆院選2024】
きょう2024年10月15日、衆議院の解散に伴う第50回衆議院議員選挙が公示されました。 また、毎週日本のどこかで都道府県・市区町村の議会議員や長を選ぶ地方選挙が告示されています。 ここで気になるのが選挙の始まりを表す言葉に「公示」と「告示」があることです。似たような響き・意味の2つの言葉ですが、一体どのような違いがあるのでしょうか?
「公示」と「告示」―選挙の種類によって使い分け
「公示」「告示」はどちらも政府などの公の機関が事柄を一般の人に広く知らせることを意味しますが、選挙の始まりを指す場合にはその選挙の種類によって「公示」「告示」を使い分けます。
「公示」―衆議院の総選挙と参議院の通常選挙
「公示」を使うのは衆議院の総選挙と参議院の通常選挙です。「国会議員の総選挙の施行の公示」が天皇の国事行為として憲法7条4号に定められていますが、ここには衆議院議員の総選挙(公職選挙法31条)だけでなく、3年に一度行われる参議院の通常選挙(公職選挙法32条)も含まれています。 ◯憲法第7条 国事行為 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行う。 … 3 衆議院を解散すること。 4 国会議員の総選挙の施行を公示すること。 … ◯公職選挙法第31条 衆議院議員の任期満了に因る総選挙は、議員の任期が終る日の前三十日以内に行う。 … 4 総選挙の期日は、少なくとも十二日前に公示しなければならない。 ◯公職選挙法第32条 参議院議員の通常選挙は、議員の任期が終る日の前三十日以内に行う。 … 3 通常選挙の期日は、少なくとも十七日前に公示しなければならない。 衆議院の総選挙や参議院の通常選挙は天皇の国事行為であるため「公示」を用いますが、欠員が出た場合の補欠選挙は国会議員を選ぶ国政選挙であっても国事行為には含まれないとされているため「公示」は用いません。
「告示」―衆参の補欠選挙・再選挙、地方自治体の首長選挙・議会議員選挙
「告示」は上でも説明したように衆議院・参議院の補欠選挙や再選挙、及び地方自治体の首長選挙や議会議員選挙に対して使います。衆議院の総選挙や参議院の通常選挙の公示が天皇の国事行為の一つとして行われ、公示日の官報には天皇の詔書が掲載されるのに対して、それ以外の選挙は公職選挙法が定めるところにより選挙管理委員会が告示します。 ◯公職選挙法第33条 地方公共団体の議会の議員の任期満了に因る一般選挙又は長の任期満了に因る選挙は、その任期が終る日の前三十日以内に行う。 … 5 第一項から第三項までの選挙の期日は、次の各号の区分により、告示しなければならない。 一 都道府県知事の選挙にあつては、少なくとも十七日前に 二 指定都市の長の選挙にあつては、少なくとも十四日前に 三 都道府県の議会の議員及び指定都市の議会の議員の選挙にあつては、少なくとも九日前に 四 指定都市以外の市の議会の議員及び長の選挙にあつては、少なくとも七日前に 五 町村の議会の議員及び長の選挙にあつては少なくとも五日前に ◯公職選挙法第33条の二 衆議院議員及び参議院議員の第百九条第一号に掲げる事由による再選挙は、これを行うべき事由が生じた日から四十日以内に、衆議院議員及び参議院議員の同条第四号に掲げる事由による再選挙(選挙の無効による再選挙に限る。)は、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会(衆議院比例代表選出議員又は参議院比例代表選出議員の選挙については中央選挙管理会、参議院合同選挙区選挙については当該選挙に関する事務を管理する参議院合同選挙区選挙管理委員会)が第二百二十条第一項後段の規定による通知を受けた日から四十日以内に行う。 … 8 衆議院議員及び参議院議員の再選挙及び補欠選挙の期日は、特別の定めがある場合を除くほか、次の各号の区分により、告示しなければならない。 一 衆議院議員の選挙にあつては、少なくとも十二日前に 二 参議院議員の選挙にあつては、少なくとも十七日前に ◯公職選挙法第34条 地方公共団体の議会の議員及び長の再選挙、補欠選挙(第百十四条の規定による選挙を含む。)又は増員選挙若しくは第百十六条の規定による一般選挙は、これを行うべき事由が生じた日から五十日以内に行う。 … 6 第一項の選挙の期日は、特別の定めがある場合を除くほか、次の各号の区分により、告示しなければならない。 一 都道府県知事の選挙にあつては、少なくとも十七日前に 二 指定都市の長の選挙にあつては、少なくとも十四日前に 三 都道府県の議会の議員及び指定都市の議会の議員の選挙にあつては、少なくとも九日前に 四 指定都市以外の市の議会の議員及び長の選挙にあつては、少なくとも七日前に 五 町村の議会の議員及び長の選挙にあつては、少なくとも五日前に
「公示」は衆議院総選挙と参議院通常選挙に、「告示」はそれ以外の選挙に使う
ここまで選挙の際の「公示」と「告示」について説明してきましたが、まとめると ・「公示」は衆議院の総選挙と参議院の通常選挙について使う ・「告示」はそれ以外の選挙(衆参の補欠選挙・再選挙、地方自治体の長の選挙、議会議員選挙)について使う ということになります。特に「公示」は憲法にも定められており、ある意味特別な呼び方といえるかもしれません。選挙ドットコムでは他にも選挙にまつわるコラムや情報をお届けしていきます。