首相指名選挙で第2次石破内閣発足へ 与野党攻防のポイントは
第215特別国会が11日召集された。午後の衆参両院本会議での首相指名選挙で、石破茂首相(自民党総裁)が第103代首相に選出される公算が大きい。自民、公明両党の連立与党は衆院選で過半数割れとなったため、首相指名選挙は戦後5回目の決選投票にもつれ込む見通し。決選投票になれば、社会党出身の村山富市首相が選出された1994年以来、30年ぶりとなる。 【写真まとめ】注目の「裏金議員」の当落、どうなった 石破氏が選出されれば、11日夜までに第2次石破内閣が発足。首相は記者会見で、今月中にも取りまとめる経済対策や、自民派閥の裏金事件を受けた政治改革の取り組みなどについて説明するとみられる。 特別国会の会期は14日まで。政府・与党は12月上旬にも臨時国会を召集し、経済対策の裏付けとなる2024年度補正予算案を提出して、年内成立を目指す構えだ。 第1次石破内閣は11日午前の臨時閣議で全閣僚の辞表を取りまとめ、総辞職した。自民は衆院選で公示前から65議席減の191議席。公明を合わせても過半数(233議席)を大きく割り込む215議席に落ち込んだ。自民は派閥の裏金問題で非公認とした無所属ら6人を会派に加え、与党は計221議席で今国会に臨む。 一方、野党第1党の立憲民主党は野田佳彦代表への首相指名を各野党に求めたが一本化に失敗。1回目の投票ではどの候補も過半数には至らず、決選投票では自公による多数で石破氏が再び選出される公算が大きい。 衆院は、11日午後の本会議で議長に自民の額賀福志郎元財務相を再任し、副議長には新たに立憲の玄葉光一郎元外相を選出する。参院は11日午前の本会議で体調不良のため辞任した尾辻秀久参院議長(84)の後任に、自民の関口昌一前参院議員会長(71)を選出した。 首相はその後、公明の斉藤鉄夫代表との党首会談に臨んだ上で、首相官邸に組閣本部を設置。皇居での首相任命式と閣僚認証式を経て新内閣を発足させる。首相は衆院選で落選した牧原秀樹法相と小里泰弘農相の後任に、それぞれ鈴木馨祐元副外相と江藤拓元農相を充てる。斉藤氏が務めてきた国土交通相には公明の中野洋昌元経済産業政務官を起用する。それ以外の閣僚は再任する。 第2次内閣発足を受け、首相はまず経済対策と補正予算案の編成を急ぐ。野党が攻勢を強めるのは確実だ。首相が、所得税がかかり始める「年収103万円の壁」の解消などを掲げる国民民主党の主張を取り込みながら、政権を安定させることができるかが焦点となる。政策活動費の廃止や調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開などの政治改革も喫緊の課題となっている。年末に向けて与野党の攻防は激しさを増しそうだ。【内田帆ノ佳、竹内望】