全盛期は行列ができた大阪・十三のキャバレー 人気が落ちても「キャバレーという文化を継承したい」…突破口となった挑戦とは?
1969年に大阪市淀川区・十三で創業したキャバレー「グランドサロン十三」。1階、2階が吹き抜けになったゴージャスな空間の中には巨大シャンデリアや約200名が着席できるベロアのソファー席、ステージなど。昭和の香りを残すキャバレーが今、大きな変貌を遂げています。 【写真】煌びやかな昭和の往時を感じさせます 2021年秋頃からキャバレー営業を継続しつつ貸会場としての活動を開始。煌びやかな内装はそのまま、音楽イベント、子供が集まるワークショップなど様々な用途に貸し出しているのです。いかにして現在の業態に生まれ変わったのでしょうか。2020年に経営を引き継いだ宮田泰三さんに話を聞きました。 ーー全盛期のグランドサロン十三は。 宮田:2階も含めて満席の状況が続き、店外にもお客様が列をなしてお待ちいただいていたとか。スタッフはお待ちのお客様にウイスキーを配り、店内では時間を決めて合図代わりの音楽を鳴らし、お席にいるお客様のお帰りを促していたそうです。 ――バブル崩壊後、どんな影響が? 宮田:1日に多額の支払いをされるお客様が減った、とよく言われます。キャバレーという業態自体が、オイルショックの影響やカラオケボックスの普及等に伴ってすでに昭和50年代から人気が落ちてきていたと言われています。それでも2023年11月にキャバレーファン向けイベントを開催したところ大盛況。 キャバレーで満席になることがコロナ禍以降初めてで、店長や若いスタッフは忙しい中にも目を輝かしていたのが印象的でした。私にとっても、キャバレーでお客様をまだまだ呼べると実感した体験でした。 ――様々な用途に貸し出しています。 宮田:事業を引き継いだ時「キャバレーだけでは勿体ない、もっと幅広い世代や趣味趣向の方々にこの場所を知って活かしていただきたい」という発想から、貸会場の事業を始めました。スタッフ達が設備の保守やイベント広報に尽力してくれ、ご来場されたお客様もSNSで広めていただき、現在の運営形態の原型が出来上がったのだと感謝しています。 音楽ライブやMV撮影などのご利用が多い一方、お子様、女性を対象としたご利用が少ないと感じました。やはり「キャバレー=風俗店」というイメージから警戒されるのかもしれません。今年から貸会場事業をキャバレー運営会社から分離すると、結婚パーティや企業等の研修など想定以上のご活用をいただいています。 ――どんな場所にしていきたいですか? 宮田:私はこの空間を文化施設と考えています。希少となったキャバレーという業態を続けることも文化継承ですし、当店で様々なイベントを開催いただくことも文化発信。地元十三や大阪のランドマークとして多くの方々に活用いただく場所にしたいです。 ◇ ◇ 性別も年齢も飛び越えて楽しめる場所に変貌を遂げたグランドサロン十三。ご興味ある方は気軽に足を運んでみてはいかがでしょうか。 (まいどなニュース特約・ゆきほ)
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