アイデアは10分で出す、日本コカ・コーラの上司から学んだ仕事をスピーディに進めるための原則とは?
「営業は断られてから始まる」と言われる。だが、話術だけで成約に導けるほど甘くはなく、1度成功したアプローチが2度通用する保証もない。「買う・買わない」の決定権を相手が握る中、営業担当にできることは何か、すべきことは何なのか? 本連載では、日本一の営業成績を認められ、初めて地方ボトラーから日本コカ・コーラへの出向を果たした山岡彰彦氏の『コカ・コーラを日本一売った男の学びの営業日誌』(山岡彰彦著/講談社+α新書)から、内容の一部を抜粋・再編集。顧客視点や組織力の大切さに気付いていく学びの足跡をたどる。 第4回は、日本コカ・コーラに出向後、外資系企業の生産性がなぜ高いのかを理解した際のエピソードを紹介する。 ■ 一度決まったことを蒸し返さない これまで多くの会議に出て感じていたことですが、1つの取り決めを進める際、最初に決めていた大きな枠組みに対して、細かな話に入った段階で、最初の枠組みに戻って、話を蒸し返す人が出てくることがあります。 そうなると議事が上手く進まず、訳がわからなくなったり、なんとなく曖昧な結論で終わったりすることが少なくありません。 ところが、日本コカ・コーラ社の会議ではこういった場面に遭遇することは稀でした。会議で合意がとれたものに関しては、そこに戻ることはなく、それを傘とした各論で自分たちの考えを出し合い、意見をぶつけ合うのです。口論のようになったりすることはありますが、各論から総論に戻るようなことはありません。 その日は朝から会議です。会議の目的は次回の営業担当者会議でどういうテーマを取り上げるのかということです。最後に2つのテーマに絞られ、散々意見を出し合ったあと東阪名(東京・大阪・名古屋)の軸で営業施策を取り上げることに決まりました。 もう1つの各地の施策を取り上げるテーマも捨てがたいのですが、明確なテーマを決めるのが目的なので1つに絞ります。たとえ49%対51%の支持の違いでも、一度51%でいくと決まれば、以降は49%の話は一切ありません。51%をいかに上手く進めるのか、それをどうするのかに全員が集中します。 会議を終えて、隣に座っていた山本さんに話しかけます。 「ここでの会議は本当に結論がはっきりと出るんですね。私がいままで出ていた会議では、これほどきちんと合意がとれることはなかったので、ちょっと驚きです」 山本さんは普通のことのように答えます。 「会議でも何でも同じで、最初にその場の目的、つまり何を決めるのかを全員に伝え、それに向かって話が進むよね。一度、大枠が決まれば、それに沿って話をするのは当然と言えば当然。ここは自分の考えを出し合う場であるけど、みんなで目的を達成させる場だからね。他のことはよくわからないけど、結構、曖昧な結論になってしまう会議をやっていると聞いたことはあるよ。でも、それじゃ、みんなの時間を奪うだけの場になってしまうでしょ」