アイデアは10分で出す、日本コカ・コーラの上司から学んだ仕事をスピーディに進めるための原則とは?
私はそういった場を何度も経験してきました。さらに山本さんが続けます。 「よく会議に出て、何も発言せずにいて、会議が終わってから、あれはどうだとか、こういうことが抜けているなどと言う人がいるでしょう。そういう人のことをここでは『臆病者』と呼ぶからね」 なんとも厳しい言葉ですが、確かに何も発言しなくては貢献度ゼロ。会議が終わってから、あれこれ言ったところで何の意味もありません。せっかくの結論に水を差し、話を進めていた人の気分を損なうことになるだけです。 会議だけではありません。2つのうち、どちらにすれば良いのか迷う場面には毎日のように遭遇します。でも自分が一方に行くと決めたら、それをいかに進めるかに集中しないと、ものごとを具現化することはできません。営業現場でも小さなことから大きなことまで、同じことが起こり、何らかの意思決定が要求されます。 一度決まったことは蒸し返さない。その決定に基づいてどう行動するのか。後ろに戻っていたのでは目的は達成されません。基本的なことに改めて気づかされます。 ■ 10分で考える 外資系企業の上司の下で働くようになってから驚いたことの1つは、仕事におけるスピード感の違いです。 「これについてアイディアを考えて欲しいんだけど、10分待っているから考えを聞かせてくれない?」 これも藤野マネジャーからのリクエストです。 「え、じゅ、10分ですか」 いままでこういった場面では、急いでいる状況であっても、明日までに考えてきてくれと言われるのが普通でした。書面でまとめて提出する場合には2~3日程度の猶予があったものです。 ところが、藤野さんから要求された時間はわずか10分です。とてもまともなものが出せるとは思えません。しかし、何らかの考えを形にして出さなければなりません。 短い時間にアイディアを絞り出し、ほとんど殴り書きのような文字で考えをまとめます。とても社内で提出する書面とは言えない代物ですが、私が10分でできるものはこれで精一杯です。ところが藤野さんは私が出したアイディアを丁寧に読んでいきます。