天王星に1個、海王星に2個の新しい衛星を発見! 天王星は20年ぶり
太陽系の惑星には大小さまざまな衛星が見つかっています。中でも巨大な惑星は2桁以上の衛星を従えていますが、実際の総数がいくつであるのかは分かっていません。 今日の宇宙画像 カーネギー研究所のスコット・S・シェパード氏などの観測チームは、天王星の新衛星「S/2023 U 1」と、海王星の新衛星「S/2002 N 5」および「S/2021 N 1」の発見を公表しました。天王星は約20年ぶりに衛星が追加され、総数が28個となりました。また、海王星も約10年ぶりの追加であり、総数は16個となりました。さらに、S/2021 N 1は海王星のみならず、太陽系の全ての衛星の中でも惑星から最も遠くを公転する衛星の記録を更新しました。
■太陽系の衛星はいくつある?
太陽系の惑星のうち、水星と金星を除くすべての惑星が1個以上の衛星を持ちます。特に巨大な四大惑星である木星・土星・天王星・海王星は、いずれも10個以上の恒久的な自然衛星を持っていることが確認されています。2023年には木星と土星の新衛星が数十個も追加され、土星の衛星数は146個(※1)、木星の衛星数は95個となっています。 ※1…土星の衛星の中には、一時的に生じた環の塊である可能性が高いためにカウントから除外されている衛星が3個あります。もしもこれらを加えた場合、土星の衛星数は149個となります。 木星と土星に対し、天王星と海王星の衛星の総数はずっと少なくなります。今回の報告以前では、天王星の衛星数は27個、海王星の衛星数は16個でした。理由の1つは、どちらも地球から遠く離れているために、小さくて暗い衛星からの反射光を見つけることが困難になるためです。実際、木星と土星の衛星には10km未満の衛星が多数発見されていますが、天王星と海王星の衛星は最小のものでも10km以上と考えられており、それだけ小さな衛星を見つけることが難しいことを示しています。 また、衛星の軌道の性質も観測に追加の困難を与えます。暗い衛星を観測するには、感度の高い望遠鏡で長時間の露光を行う必要があります。しかし、衛星のすぐ近くで惑星が明るく輝いているために、衛星の光が隠されてしまうこともあります。このため、衛星を撮影すること自体が困難となります。 さらに、惑星から遠く離れた位置を公転する衛星は、非常にゆっくりとした公転速度で動いているため、数日程度の撮影ではほとんど動いていないように見えます。衛星であることを示すには惑星に対する公転軌道を算出する必要があるため、年単位の間隔を置いて観測を行う必要があります。