売電価格は下落の一途だが…それでも家を建てるなら「太陽光パネル」の設置を勧めるワケ
自家消費率はどうすれば向上するのか?
では、自家消費率を向上させるためにはどのような方法があるのでしょうか? まず思いつくのは、太陽光発電の電力を使って、昼間に家事、洗濯・食洗器等を行うことでしょうか? もちろん、これは有効です。ただ、最近はご夫婦で働いている家庭も多く、簡単ではないと思います。 設備機器の仕組みによって、自家消費率高めるとすると、まず思いつくのは、蓄電池の導入ではないでしょうか? もちろんこれもとても有効です。昼間太陽光で発電した電力を蓄電し、夜間に利用することができます。十分な容量の蓄電池ならば、電力会社からほとんど買電しなくても済むようになります。さらに災害時にも、周辺が停電で大変なことになっていても、蓄電池があれば、普段と同じような生活を送ることができます。 しかしながら、蓄電池はまだ高価なため、自家消費率を向上して経済的なメリットを享受する費用対効果という観点からは、微妙な段階のようです。ただし、例えば東京都は蓄電池導入に対して、今年度は3/4という非常に高い補助率の助成制度を設けていました。このような制度を活用すれば、一気に経済的なメリットを享受することができます。 次にEV(電気自動車)の導入が考えられます。EVの導入により、自家消費率を高めるのには、2段階の選択肢があります。まずは、太陽光で発電した電力でEVを充電し、極力売電せずに、太陽光発電の電力でEVを走行させることです。当然、これは自家消費率の向上に寄与しますし、住宅側の設備は充電用のコンセントを駐車場側に設けるだけなので、とても軽微です。ただし、昼間にクルマを利用していると、その間は充電(自家消費)はできませんし、EVに蓄電された電力を住宅で使うことはできません。 EVによる自家消費率向上の2段階目と言えるのが、V2H(Vehicle to Home)と言われるものです。これは、電気自動車用の充電設備としてだけでなく、電気自動車のバッテリーに貯められている電気を自宅へ流し、自家消費を可能にするシステムのことです。昼間の太陽光発電の余剰分をEVに充電しておき、夜間に住宅で使用する電力をEVから供給するというものです。いわば、EVを住宅用の蓄電池としても使用すると言うものです。当然、単にEVの走行用に使用するだけに比べれば、自家消費率が向上します。さらに、災害時にも安心です。 ただ、蓄電池と同様に、まだシステム構築に係る費用が多少高額なのが難点です。 ちなみに、蓄電池もV2Hも国の補助金の制度がありますので、検討してみる価値はあるでしょう。
最も手軽で有効な自家消費率向上策は「新しいエコキュート」
これらに比べて、より手軽で有効な自家消費率向上策としてお勧めしたいのは、従来のエコキュートと機能が異なる新しいタイプのエコキュートです。「おひさまエコキュート」と呼ばれる従来の機種では制約されていた太陽光発電による電力で最大限沸きあげることが可能なエコキュートです。 すでに、5社から商品化されており、単に太陽光発電の電力を最大限活用できること以外に、いくつかのメリットもありますので、太陽光パネルを設置される方は合わせて検討してみることをお勧めします。
高橋 彰