「路線バス事業者」の「全国約7割」が「赤字」!? 「地方部の路線バス事業の厳しい現状」とは
路線バスには、地域の交通を担う役割があります。しかし、全国にある路線バス事業者の約7割は赤字を抱えており、特に地方部の路線バス事業は減便や廃線などの対応を取らざるを得なくなっているようです。 この記事では赤字を抱える路線バス事業者の具体的な割合や衰退している理由をまとめました。地方部の路線バス事業の現状もご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
赤字を抱える路線バス事業者の割合は?
国土交通省の「地域交通をめぐる現状と課題」によると、赤字を抱える事業者の割合は約7割です。赤字によって路線バスの廃止も相次いでおり、2007年度から2016年度にかけては、1万3991キロメートルの路線が廃止されています。この距離は全国のバス路線を合計したうちの3.5%程度です。 特に地方部の路線バス事業者の赤字割合が多いとされており、乗り合いバスの収支も減少傾向にあるようです。三大都市圏の収支は増加傾向にあることを考えると、地方バスの経営には厳しい部分が見られるといえるでしょう。 このように路線バスが衰退している地域では、自治体が公的負担で提供しているコミュニティバスや乗り合いタクシーなどが運行されています。ただし、許可を受けた事業者しか運行できなかったり、地域の関係者による合意が必要だったりするため、場合によっては導入できない場合がある点はデメリットといえるでしょう。
路線バスが衰退している理由
路線バスが衰退している理由として考えられるのは、以下の2つです。 ●賃金の低さ ●運転手不足 それぞれの内容について、詳しく解説します。 ■賃金の低さ 路線バスが衰退している理由の1つに、賃金の低さがあげられます。総務省統計局によると、バス運転手の年収は企業規模が10人以上の場合で453万1900円となっており、この数値だけを見ると決して安いとはいいきれません。国税庁の発表では、令和5年の平均年収は459万5000円であることを考えると、平均的な給与といえるでしょう。 しかし、バス運転手の年収は地域によっても異なるようです。都市部と地方部を比較してみると、1.5~2倍程度の差につながるケースもあるとされているため、地域格差は大きいものと考えられるでしょう。 路線バスが衰退しているのは、おもに地方部です。赤字の影響で賃金が上げられないことで、経営が難しくなっていると考えられるでしょう。 ■運転手不足 路線バスの運転手が不足しているのも、衰退している理由の1つとして考えられます。賃金が低いのも理由にはなりますが、それに加えて労働時間の長さも路線バスが衰退している要因となっているようです。 また、路線バス運転手として働くには、第二種大型自動車運転免許が必要になります。該当の免許所有者が少なくなっているのも、運転士不足の理由といえるでしょう。 バス運転手の平均年齢は53.9歳となっており、若い年齢とはいえません。若い世代から敬遠される職業となってしまっていることで、運転士不足をさらに加速させていると考えられます。