60代、「心の健康」こそが人生を豊かにする。小さなことに喜び、自分を許す
3:人とのつながりをさらに大切にする
人生の後半になると、人間関係も大きく変化します。子どもの自立、親の介護や見送り、定年退職など…。そんな中でも、だれかと新しいつながりをつくったり、関係を深めることが重要です。人との交流は、心の活力を与えてくれるものだからです。 私は、定期的に友人と集まって食事をしたり、趣味の時間を共有したりすることで、自分の心をリフレッシュしています。とはいえ、悩みを打ち明けあったり、深い話をすることはありません。歳を重ねたおかげで、自分のコアな部分は、セルフケアできるようになりました。それよりも、楽しい時間を過ごせることの方が大事です。私の夢は友人を招いて自分の家でホームパーティをすること。想像するだけでワクワクしますね。
4:未来に対する好奇心を持ち続ける
「今さら新しいことなんて」と思ってしまいがちな年齢になっても、私は常に新しいことに対してオープンでいたいと思っています。旅行先で見知らぬ風景を楽しんだり、新しい本を手に取ったり、インターネットで調べ物をしたり。こうした小さな冒険心や好奇心は、年齢に関係なく私たちの心を活性化させてくれるのです。 心の健康を保つためには、「未知」に対する怖れよりも、好奇心を大切にすることがカギなのかもしれません。美術鑑賞なんて、まったく無縁だと思っていたのに、「楽しい」と感じる自分に驚いています。60歳でも「新しい好き」と出合えるんですから、好奇心は失ってはもったいないと思っています。
5:自分を許す
私たちは、知らず知らずのうちに自分自身に対して厳しくなりすぎるところがあります。たとえば、過去の失敗を繰り返し思い出し、「あのときもっとこうしていれば」と後悔の念に駆られること。失敗したことに対して、長い間自分を責め続けてしまう。そんなこと、だれしも経験があるのではないでしょうか。 でも、ここで気づくべきは「許せない自分」が、じつはいちばん苦しんでいるということです。自分を責め続けることで、過去の失敗が今現在の自分に重くのしかかり、前に進む力を奪ってしまいます。そんなときには、すんでしまった過去を「しゃーないな」という言葉でリセットしましょう。 人生の後半は、過去に蓄えた体験と知恵をもとに、無理せず、焦らず、自分らしく、心豊かに過ごすことができる時間です。とくにせっかちな私には、焦らずという言葉がピッタリ。そんなふうに生きることが、なによりも心の健康を保つための秘訣なのかもしれません。
中道あん