無病息災と豊作祈る 伝統の舞「遠江のひよんどりとおくない」 浜松の中山間地
浜松市北部の中山間地で3日、正月の伝統行事として国の重要無形民俗文化財に指定されている「遠江のひよんどりとおくない」が営まれた。地域住民や若者が伝統の舞を奉納し、無病息災と豊作を祈った。 同市浜名区引佐町寺野地区の直笛山宝蔵寺では、500年近い歴史を誇る「寺野三日堂祭礼ひよんどり」が行われ、保存会員や地元の引佐北部小中の児童らが13種類の舞を奉納した。 子どもによる三つ舞や巫女(みこ)の舞、保存会員の矛の舞、獅子の舞など、約4時間にわたって演舞が繰り広げられた。見どころの「鬼の舞」では赤、青、黒の3匹の鬼が登場。おのや棒を振り下ろしてたいまつの火をたたき消すと、境内の盛り上がりは最高潮に達した。 同市天竜区懐山の泰蔵院では「懐山おくない」が行われた。懐山おくない保存会(青木良治会長)の会員らが、邪気を払う「両剣の舞」や「ホイホイホイ」のかけ声が特徴的な「猿追い」、来場者もかさをかぶり「田植え」する「田遊び」などを披露した。 前会長の大石寅十さん(享年88)が2024年10月に逝去し、新体制が発足して以来初めてとなる今回は、懐山出身の大石紘明さん(23)=東京都=ら若者の姿が目立った。中央区の中学1年田中悠理さん(12)は妹の小学3年琳子さん(9)と参加し、「緊張したけど面白かった。またやってみたい」と語った。
静岡新聞社