日中のキャッシュレス決済サービス50超に対応 李剛・ネットスターズ社長CEO
流通大手イオンが展開する映画館チェーン「イオンシネマ」の飲食売り場でも、モバイル決済とセルフレジ型の2種類のシステムを導入しています。飲食関連の注文から支払いまですべて無人化されます。現場では調理に集中すればよく、コスト面の効果を認めてもらっています。 ■中国出身の3人で創業 ── 2009年に創業したきっかけは。 李 私を含め中国出身の3人のエンジニアが集まって、何か新しいサービスはできないかと考えていました。私はネットワークエンジニアです。この分野では最難関の資格となるCCIE(米ネットワーク機器大手シスコシステムズが認定する民間資格)を得ており、腕のいいエンジニアだと自負していました。 人間社会においては人のネットワークが重要で、会社を作るときに一番重要なのは人材です。優秀な人材は言い換えると「スター」。ネットワークをしっかり持ちながら、「スター集団」にしようという思いからこの社名にしました。 ── 23年9月に東証グロース市場に上場するまでに会社が大きくなったきっかけは。 李 最初に当たった事業は国際ショートメールサービスです。日中間のショートメールが1通100円だった10年当時に、安くする仕組みを考案して、1通10円に下げました。かなりの金額の利益を上げました。 次に成長する事業はモバイル・インターネットだと考え、当時すごいスピードで成長していたテンセントとの協業を模索しました。13~15年くらいに、中国ではウィーチャットペイやアリペイをみんなが使うようになり、日本でも同様に普及すると考えました。現在の本業である決済サービスは15年開始です。 ── 24年12月期は、営業利益が1億円、当期利益が1億5000万円を予想(前年度はそれぞれ3億2100万円、3億4700万円の赤字)。黒字転換を予想しています。今後どのような成長戦略を描いていますか。 李 今年度は黒字化が一番の目標になります。日本でのキャッシュレス決済比率は4割程度と、伸びる余地は大きいです。国内事業の足元を固めつつ、海外事業を伸ばします。昨年8月、経済産業省から、日本の統一コード「JPQR」を海外で推進する事業者に選定されました。今後は東南アジアや中東でのキャッシュレス化を見込んで、日本で進めてきたゲートウェイ事業やDX事業をこれらの地域で展開しようと考えています。