内田雄馬のエゴと覚醒「僕らは観られて初めて完成する存在」
ふたりのキャラクターの正反対の魅力
――やはり凪の魅力というものが大きなところかなと思うんですけど、内田さんから見て凪はどういったところが魅力だと思いますか。 凪はわりと自分がはっきりしているんですよね。「何もやりたくない」ということも自分の意思。ピュアな状態ではっきり自分を確立しているところが凪の魅力かなと思います。だからこそ、サッカーという一つのきっかけが与えられたときに、まっすぐ迷いなく興味のあるところへ向かっていけているんです。淀みがないというのはやっぱりすごいこと。凪はゼロの状態から始まっているので、どんどん積み重ねていくイメージなんです。だからある意味、本当に天才。サッカー選手としてフィジカルが天才っていうのもあるし、どんどんいろんなものをプラスして、変わっていくのがおもしろいところだし魅力なのかなと思います。 ――凪はどんどん色がついていくようなイメージですよね。 そうなんですよね。0でピュアなところから、彼らしさがどんどん伸びていくような感じがしますね。 ――その凪に色をつけるきっかけを与えた、ある意味、最初に凪の運命を変えていくようなポジションにいるのが玲王なのかな、と思います。ご自身が演じていらっしゃる玲王にはどういった思いを抱かれていますか。 玲王は生まれてから、いろんなものを与えられて生きてきています。 例えば教育もそうだし、自分の環境も、欲しいものは手に入る。いろんなことを学ばされている、学んでいるがゆえに、どんなことでもだいたい何となくうまくやれてしまうんですよね。そんな中で「うまくいく自分」という自己が確立されていて、それが多分彼の外側になっているんですが、心の中はかなり未熟だと思うんです。「自己」というものが多分あまり確立されていない。 今の玲王は、与えられたものの中で出来上がった御影玲王像です。だから彼は、「これは俺が欲しいものじゃない」、「与えられたもので満足できない」と言っていますけど、それは自分自身の意思がそこに則って積み上げたものじゃないからなんですよね。 だから、凪とは逆ですよね。凪は何もしたくないけど、彼自身の意思で「何もしたくない」を選んでいるのではっきりしているんです。玲王は自分の意思ではない部分があるから、その差はおもしろいと思いますね。