災害時の避難生活、命を守る衛生の基本と日々を清潔に過ごすためのアイデア。
避難生活で大切な衛生管理。衛生とは何かを知り、自分に合うものを厳選しておくことが生きた知恵となり、ひいては心身の安定に役立ちます。
災害時のQOLを支える三大欲求は“食欲”“睡眠欲”“衛生欲”だと、国際災害レスキューナースの辻直美さん。 「衛生欲は、生(命)を衛(守)るために必要なこと。災害時には2種類の衛生があって、文字どおり命を守るために必要なことと、生理的な安心・安定を得るために行う日々の衛生です」 命を守るために必要なことはすべての人に共通するが、清潔の維持に必要なことは個人差が生じる部分でもある。 「どんな状態が心地よいか、何が気になるかは人それぞれ、千差万別です。たとえば私は、自分のものでも他人のものでも、ニオイがとても気になります。なので、災害時の日々の衛生では、ニオイ対策が優先順位の上位にきます。自分の気になることにうまく対処できていれば、普段どおりとはいかなくとも、ある程度心穏やかに過ごせます」 まずは、自分は心身がどんな衛生状態だと心地よいかを明確にし、困ることを具体的にイメージ。問題解決に必要なものを用意するのが基本の対策だ。 「ただ、ものを揃えただけで満足していてはいけません。災害時に初めて使ってみて、実は使用感や香りが苦手だと気づいたり、使い勝手が悪く感じる場合も多々。非日常の中でのそうしたストレスは、気持ちをさらに落ち込ませてしまいます。普段の生活の中で試してみて、自分にとってのベストを見つけておくといいですよ」 もう一つ知っておきたいのが、衛生の維持に必須である水の大切さと使い方。 「髪や手を洗う、歯磨き、トイレ、洗濯など、全て水を使います。災害時、限られた水をどう使うか、何で代用できるかを考えておくことも大事です」 辻さん提案の災害時に役立つアイデアと、編集部おすすめ商品を見て、自分流に取り入れてほしい。
(知っておきたい2つの衛生。)
⚫︎命を守る衛生 災害時は病院での対応が災害モードになるので、普段なら助かるような状況でも、最悪は助からない場合もあり得ると想定しておきたい。自分でできることは自分でするのが前提。災害時に最も大切なのは、感染症対策。コロナ禍で培った経験をフルに活かして。 ⚫︎日々の衛生 髪を毎日洗いたい人、お風呂に入れなくてもサッパリできる手段があればいいなど、人それぞれ清潔に対する欲求は異なるもの。水やアイテムが限られた中で、何をどのように使うかは知識と工夫が必須。自分なりの清潔を保つことで精神衛生上の好影響がある。