JICA協力隊員リレーエッセイ=ブラジル各地から日系社会を伝える(23)=野球活動通じて知る心の暖かさ=アニャンゲーラ日系クラブ 尾嵜凜太郎
ブラジルのサンパウロ州サンパウロ市にあるアニャンゲーラ日系クラブで野球隊員として活動している尾嵜凜太郎です。野球活動の拠点となるのはサンパウロ市から車で30分ほどのサンタナデパルナイバ市という場所で、そこで少年少女を対象に野球指導、野球の普及活動を行っています。 配属先であるアニャンゲーラ日系クラブは会員の親睦、他の日系団体との交流、青少年の健全育成、日本文化継承を目的とし、1965年に設立されました。現在約320家族の会員が在籍しており、野球、バレーボール、サッカー等のスポーツ活動、生け花、日本料理教室、ダンス等の文化活動、日系祭り、餅つき、すき焼き会、運動会等の行事の企画・運営が行われています。そして、現在、野球チームには約100名の選手、約20名の指導者が在籍しています。 私は活動を通して、人との距離感、人間関係が日本とは大きく異なることを実感しています。特に配属先の方々に暖かく歓迎してもらう中で、非常に親切でフレンドリーな方が多いなと感じます。その実感したエピソードをいくつか紹介したいと思います。
毎週水曜日の練習が終わると、一緒に野球指導をしている方がブラジル料理のお弁当を作って持って来てくれており、晩御飯に食べてねと渡してくれます。 また日本食が恋しいかと聞かれ、「はい」と答えた次の週にはトンカツや天ぷらが入ったお弁当を作って来てくれることもありました。 また、普段の活動中に、「~はもう食べたか?」「~へ行ったか?」と様々な人が気さくに話しかけてくれます。まだ食べたことがないと伝えると、翌週の練習に「これ食べてみて」とその食べ物を持って来てくれ、この料理に入っている食材は何か、どのように調理するかなどわざわざ調べて動画や画像を見せながら説明してくれたり、まだ一度も行ったことがないと伝えると、今度の休みに連れて行ってあげると言って、本当に連れて行ってくれたりします。 そして、毎週末、練習後にはシュハスコ(ブラジルの炭焼き肉料理)が行われます。指導者や選手、保護者が参加し、皆で食べて飲んで盛り上がるなど、そこには人と人との壁や距離が一切なく、配属先の人たちからはこのチームは全員家族だという話をよくされます。任地に来てすぐの時にはそれをよく理解していませんでしたが、日々過ごしていく中で、個人的な事を相談したり、話したりしているのをみると本当に家族なんだなと実感しています。 任期の2年間で、野球活動はもちろんのこと、ブラジルの文化、価値観に触れ、出来るだけ多くの体験、経験をしたいと思います。
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