米大統領選で投票したら無料サービス提供、クリスピー・クリーム・ドーナツやイケア
投票を促すインセンティブ、厳密には違法
投票を促すインセンティブの提供は、米連邦選挙法では厳密には禁止されている。ただ、専門家が2018年に米紙ニューヨーク・タイムズに語ったところによれば、企業に対してこの法規制が適用されたことはないようだ。また、クリスピー・クリーム・ドーナツのように、投票の有無を問わず誰にでも景品を提供するプロモーションは合法だ。州などの地方選挙でも、景品の提供は禁じられていない。 共和党候補のドナルド・トランプ前大統領を支持していることで知られる実業家のイーロン・マスクは激戦州で、言論の自由と武器所持の権利を支持する署名に応じた有権者の中から抽選で毎日1人に100万ドル(約1億5000万円)を配るキャンペーンを行っている。すでに署名した人が別の有権者から署名を集めた場合、1人につき47ドル(約7000円)を支払うとも発表し、その後ペンシルベニア州では紹介の謝礼金を1人あたり100ドル(約1万5000円)に引き上げた。 有権者はマスクが自ら立ち上げた親トランプ派の政治資金団体「アメリカPAC」が主導する署名に賛同する必要があるが、それ以外の具体的な行動は呼びかけられていない。このキャンペーンは、「有権者登録ないし投票の見返りに報酬を支払ったり、支払いを申し出たり、支払いを受けたりすること」を禁止する連邦法に違反しているとの指摘があるが、金銭と引き換えに署名を集める行為の違法性については線引きがあいまいだ。 今年の大統領選挙では、すでに5500万人以上が期日前投票か郵便投票で投票を済ませた。5日の投票締め切り時には、投票者数はこの3倍になると予想されている。2024年現在の米国の有権者数は2億4400万人。1990年以降の国政選挙で最高の投票率を記録した前回2020年大統領選では有権者人口の約3分の2が投票しており、今回も投票率が同じくらい高ければ、投票者数は1億6100万人を超えることになる。 トランプと民主党候補カマラ・ハリス副大統領の支持率は依然として非常に拮抗しており、アリゾナ、ネバダ、ジョージア、ノースカロライナ、ペンシルベニア、ウィスコンシン、ミシガンの激戦州での獲得票数が勝敗を決する可能性が高い。特に、最も選挙人票が多いペンシルベニア州を制した者が勝利するとみられている。
Mary Whitfill Roeloffs