「自然って何だろう」 奄美大島で「野生の学校」 養老孟司さん校長に迎え初開催
体験活動や野外講義を通して自然について考える「野生の学校」(同実行委員会主催)が23日、鹿児島県奄美市笠利町用安の屋外会場「YURAU」であった。初開催となったイベントは解剖学者の養老孟司さん(87)を校長に迎え、講師を地元住民が担当。島内外から約250人が参加し「自然とは何か」という壮大なテーマに向き合った。 自然をテーマに意見を交わす機会として奄美大島を拠点に初開催。教頭(ナビゲーター)は麓憲吾さん(53)、講義の講師は養老さんのほか、奄美学物館学芸員の平城達哉さん(33)、龍郷町の秋名アラセツ行事保存会メンバーの重田美咲さん(45)が務めた。 講義の前には草木を用いた工作教室があり、同市笠利町の緑が丘小学校の児童らが〝先生〟となり参加者にアダンの風車や、ビロウの葉のバッタ作り教えた。
イベントの後半には養老さんが演題「自然って何ですか?」の問いに「簡単な話ではない」と前置きした上で見識を述べた。「今は自然食品や自然農法など、いい方で使われるが、本来自然という言葉が表しているのは〝中立〟」などと聴衆に伝えた。 麓さんを進行役に平城さんと重田さんを交えた対談もあった。養老さんの「奄美は日本の原風景。日本は島国だから、奄美のような環境はいいモデルになる」との言葉に対し、麓さんは「島に住みながら島の尊さにはなかなか気付きがたいが、島外の方々とコミュニケーションを取ることで気付くことがある」と納得した様子。 平城さんは「特に世界自然遺産に登録されてから、子どもたちは生き物にとても詳しい。島で動植物を学び、何かしたいという時に手助けができたら」、重田さんは「子どもたちが地域の行事をかっこいいと思えるように、大人が楽しみながら活動することが大事」とそれぞれの立場から語った。 イベント実行委員長の上野哲矢さん(63)は「一人の人として、生き物として、地球の住人として自然というものに一から触れ、学び、楽しむ〝連帯〟や〝連動〟を皆さんと共有する一歩を踏み出せた」と振り返った。野生の学校は今後も不定期で開催する予定。