【天皇賞(秋)】近2走は敗因明確、ドウデュースの逆襲に期待 大穴は復調気配見せる6歳馬
長らく逃げ切りが決まっていないレース
天皇賞(秋)では1987年のニッポーテイオー以来、逃げ切りが決まっていない。記録上では1991年にプレクラスニーが「逃げて勝利」となっているが、これは1位入線したメジロマックイーンの降着によるものだった。 【天皇賞(秋)2024 推奨馬】勝率50%&複勝率90%の鉄板データに該当! 実力と爆発力はメンバーNo.1(SPAIA) これはAコースからBコースに替わるなかですでに内が悪化していることも多く、外差しが決まりやすいという点が大きい。また、2000mの距離ながらコーナーは3回で直線が長いため、ペースが緩みなく流れやすいことも理由のひとつだ。 過去10年では先行馬が5勝しているが、その5頭はいずれもそれまでにGⅠ勝ちの実績があった。末脚型が圧倒的に有利な舞台だけに、今回も末脚型を中心視したい。
能力値1~5位の紹介
【能力値1位 リバティアイランド】 昨年の三冠牝馬で、ジャパンCでも2着と好走した馬。ジャパンCでは1番枠からまずまずのスタートを切り、好位の内から中目に誘導しながら進めていく形に。道中は逃げ馬からかなり離れた3番手を取ったイクイノックスの後ろを取り、やや掛かり気味に追走した。 3~4コーナーでもイクイノックスをひたすらマークしながら最短距離を通り、3列目の4番手で直線へ。ラスト2Fでは一気に突き放されて3番手となったが、そこからもしぶとく伸び続けて2着に浮上した。イクイノックスには4馬身も離されたが、これは相手が怪物だっただけ。並みのGⅠならば勝ち負けできる指数を記録している。 本馬は東京芝2400mのオークスで自己最高指数を記録、前記のジャパンCで2番目の指数を記録しているように、芝2400mがベストの馬だ。前走のドバイシーマクラシック(芝2410m)でも、中団外からしぶとく伸びて接戦の3着に善戦している。 前走は3~4コーナーで動いた2番手レベルスロマンスと3番手シャフリヤールがワンツーを決めたように、スローペースの直線勝負となった。前2頭を差せないことはともかく、ラスト1Fでジャスティンパレスにクビ差まで迫られたあたりにやや物足りなさも感じたが、スタミナが不足しがちな休養明けで日本のような高速馬場ではなかったことが影響していると見ている。 今回は前走で芝2410m戦を後方から運んだ後の一戦となるので、高速馬場の東京芝2000mでレースの流れに乗れるかがカギとなるが、ゴチャつかない外目の枠に入れたのは好材料と言える。ここではトップクラスの末脚の持ち主で、上位争いに加わる可能性が高い。対抗評価だ。 【能力値2位 ホウオウビスケッツ】 今夏の巴賞と函館記念を連勝した上がり馬。前々走の函館記念では12番枠から五分のスタートだったが、二の脚が速く楽に逃げ馬アウスヴァールの外2番手へ取り付いた。 1~2コーナーでは手綱を抑えてコントロールし、道中はアウスヴァールから2馬身半ほど離れた2番手を追走していく。3コーナーでは同馬と3馬身差だったが、3~4コーナーでは徐々に差を詰めながら外に誘導、4コーナーで一気に先頭に並びかける。直線序盤で抜け出すと、ラスト1Fで突き抜けて3馬身半差で圧勝した。 逃げて勝利した巴賞から1Fの距離延長。前半のペースも速くなったが、ここでは逃げずに離れた2番手に控えたことも功を奏し、自己最高の指数を記録した。 また、4馬身1/4差の3着アウスヴァールと4着サヴォーナが後にオールカマーで2着、4着と善戦したようにこの函館記念はハイレベルで、ホウオウビスケッツはリバティアイランドのジャパンC2着時と同等の指数を記録している。 休養明けで高速馬場のなか行われた前走の毎日王冠は逃げると見られたシルトホルンが控える形となったため、結果的に本馬がハナへ。かなりのスローペースで逃げて2着と無理をさせていないので、今回は前進が見込める。 今回も逃げの手に出るのか、父の岩田康誠騎手が手綱を取るノースブリッジが逃げるのかは流れによって変わりそうだが、両騎手ともハイペースを好まない騎手の上に折り合いもつくので、ハイペースにはならない可能性が高いと見ている。穴馬候補だ。 【能力値3位 ダノンベルーガ】 昨年のこのレースは4着。4番枠から五分のスタートを切ったが、折り合い重視で下げてやや後方から。道中はペースが緩まない流れの後方3列目、中目を追走した。 3~4コーナーでもペースは落ちず、前との差もそれほど詰まらなかったが、直線序盤でドウデュースの後ろから外へ誘導。ラスト2Fで同馬に並びかけ、ラスト1Fでかわしたところで外からジャスティンパレスに抜け出される。最後はプログノーシスとの叩き合いに敗れ、アタマ差の4着となった。 昨年の天皇賞(秋)は東京芝2000mで1分55秒2という異次元の走破タイムで決着したように、ペースが緩まない流れ。イクイノックスをマークしていた先行馬は総崩れで、出遅れて後方2番手のジャスティンパレスと最後方のプログノーシスが2着、3着に台頭する展開だった。 前走のドバイターフでは3着。この時は10番枠から出遅れ、押して挽回して行く形に。道中は中団中目でコントロールして我慢させ、3~4コーナーでは包まれる格好になったが、直線序盤で狭い内のスペースを突くとラスト2Fは捌きながら中目に誘導。その間に外のファクトゥールシュヴァルとナミュールに抜け出され、ラスト1Fでその2頭に食らいついたが、3/4馬身差で敗れた。 前走は前半5Fを58秒ほどで通過するかなり速い流れ。3~4コーナーのペースダウンで内の馬は包まれる形となり、そこで外から挽回したファクトゥールシュヴァルとナミュールがワンツー。本馬は一線級相手の芝2000m以上では最後に甘さを見せて勝ち切れない面もあったが、前走ではラスト2F11秒2-11秒3ほどの流れを残り100mでも前2頭にしぶとく食らいついており、甘さを見せていない。初めて着用したブリンカーの効果という可能性もあるが、昨年の同レースで2着に入った走りからも、芝1800mがベストのように感じる。 また、前走後の疲れが酷かったようで、陣営からは先週時点で仕上がりの遅れを懸念するコメントも出ていた。堀宣行調教師はいつもコメントが弱気なところもあるが、中間の追い切りを見ても反応ひと息で万全ではないのは確かだろう。そのうえで相手が強いとなると、評価は下がる。 【能力値4位タイ ドウデュース】 2年前、高速馬場の日本ダービーではあのイクイノックスを倒した馬。同年秋のフランス遠征では、2戦ともかなりタフな馬場となって結果を出せなかったが、帰国初戦の京都記念では3馬身半差で圧勝した。 昨年の天皇賞(秋)は出遅れて後方から進めたジャスティンパレスとプログノーシスが2着、3着に台頭する展開のなか、好スタートを決めて掛かりながらも積極的に3番手のイクイノックスを追いかけた。結果的に失速して7着に終わったが、東京芝2000mで1分55秒2という決着タイムからも分かるように、ペースが緩まない流れだった。それも長期休養明けで、太目残りでは敗戦も仕方ない。 それでも、武豊騎手が鞍上に戻った有馬記念では、日本ダービーや京都記念時のように後方からレースを進め、3角外から進出して一気に2列目まで押し上げる形。そこから中目に切れ込み、スターズオンアースに並びかけて2列目の外で直線へ。ラスト1Fでは前2頭を差し切り、半馬身差で勝利した。この年の有馬記念は年末の中山芝としては時計が出ており、本馬は高速馬場で末脚を生かしてこそ、ということを改めて感じさせる内容だった。 前々走のドバイターフは出遅れを中団まで挽回し、3~4コーナーで窮屈になってブレーキを掛けながら進出。ラスト1Fまでは進路がなく、脚を余す形で敗れている。 前走の宝塚記念はタフな馬場。4番枠からまずまずのスタートを切り、そこからコントロールして位置を下げにかかったが、外から被せられて下げ切れずに後方列の中目を追走することとなった。3コーナーまでに位置を下げ切れず、3~4コーナーでは馬場の悪化した内を狙うしかない形に。4コーナーでは4列目まで上がったが、最後の直線でも馬場の悪化した内を通って6着敗退。ここでも本来の能力を出し切れなかった。 今回の天皇賞(秋)は当日も晴れの予報で、おそらく超高速馬場で行われる。近2走で能力を出し切っていないので、エネルギーは溜まっているだろう。1週前はCWで目一杯、直前はポリトラックという友道康夫厩舎の勝負調教をこなすことができた。距離適性も実績もあるので本命候補としたい。 【能力値4位タイ レーベンスティール】 エプソムCとオールカマーを連勝してここに臨む馬。前々走のエプソムCでは6番枠からまずまずのスタートを切り、じわっと仕掛けて好位中目を追走。向正面ではコントロールしながら位置を下げ、好位馬群の後方外に取り付く。 3~4コーナーでも好位の外からラケマーダの後ろを通り、4列目で直線へ。ラスト2Fですっと抜け出すと一気に先頭列まで上がり、ラスト1Fでしぶとく抜け出して2馬身差で完勝した。 エプソムC当日は馬場の内側がやや荒れ、外差し有利の馬場だったが、向正面で位置を下げて上手く外に誘導したことで噛み合った面がある。また、本馬は折り合い面に課題があるが、平均ペースで流れて前に壁を作れたことで折り合いもスムーズだった。 前走のオールカマーは4番枠からまずまずのスタートを切り、序盤は2列目の中目。外からリカンカブールが2番手に上がり、道中は3列目の中目でかなり掛かったが我慢させて追走した。 3コーナーで前にスペースを作り、4コーナーでそのスペースを詰めていくも、そこで進路がない状態に。直線序盤で外への誘導が難しく、内に切れ込んでラスト1Fでは3列目。ラスト1Fでアウスヴァールの後ろから何とか馬群を捌き切ると、半馬身差で勝利した。 前走は最後の直線で詰まって仕掛けが遅れたが、結果的にここへ余力を残すことができた。ただし、今回は相手強化で外枠。8番枠は過去20年で52頭が出走して連対ゼロという枠だが、フルゲートではないのでそこまで悪い枠ではないだろう。前に壁を作りたいタイプで、壁が作れずに折り合いを欠いた時は不安だが、この枠の並びならシルトホルンを壁にできそう。警戒はしておきたい。