キャンディーズ・伊藤蘭が明かす、アン・ルイス考案“小悪魔衣装”への印象 46年ぶりの『紅白』出場で届けた想いとは
記録と記憶で読み解く 未来へつなぐ平成・昭和ポップス 伊藤蘭(全3回の第2回)
この連載では、昭和から平成初期にかけて、たくさんの名曲を生み出したアーティストにインタビューを敢行。令和の今、Spotifyなどの音楽ストリーミングサービス(サブスク)で注目されている人気曲をランキング化し、各曲にまつわるエピソードを深掘りすることで、より幅広いリスナーにアーティストの魅力を伝えていく。 【画像】誰もが知る名曲から意外な曲まで…「キャンディーズSpotify再生回数ランキング」 ほか 今回は、伊藤蘭へのインタビュー第2弾。前回に引き続き、昭和に大ヒットしたキャンディーズの作品に加え、令和のソロ名義での人気曲についても尋ねてみる。
「やさしい悪魔」の衣装はアン・ルイス作、メイン・パートは“オーディション制”
キャンディーズのSpotify再生回数TOP5を見ると、「春一番」「年下の男の子」「微笑がえし」「暑中お見舞い申し上げます」「やさしい悪魔」と、今でも語り継がれている楽曲がズラリと並んでいる。そうした中で、第6位にブレイク前のデビュー曲「あなたに夢中」がランクインしているのは、大健闘と言えるだろう。 「『あなたに夢中』 は私のソロ・パートから始まるのですが、当時はとても緊張していて、その出だしの声が硬いなぁっていつも反省していました(苦笑)」 改めて聴いてみると、確かに後期と比べてやや幼く聞こえるが、メインとサブのヴォーカルの掛け合いがあったり、随所にハーモニーが入ったりと、デビュー曲とは思えぬほどレベルが高い。
ちなみに、第5位の「やさしい悪魔」、第9位の「アン・ドゥ・トロワ」、そしてキャンディーズのシングルB面の中では最上位(第22位)となっている「あなたのイエスタデイ」は、いずれもシンガー・ソングライターの吉田拓郎が作曲を手がけている。ソウルフルでセクシーな「やさしい悪魔」、ムーディーな「アン・ドゥ・トロワ」、そしてフォークソング風の「あなたのイエスタデイ」と、三者三様に魅力的だ。 「やさしい悪魔」は黒と赤を基調とした小悪魔っぽい大胆な衣装で、少し挑発的に“デビルサイン”をするなど斬新な振り付けもあり、それまでのキャンディーズにはあまりないイメージだったが…。 「『やさしい悪魔』の衣装は、同じ事務所だったアン・ルイスさんが“あたしが考えるよ~”なんて言ってデザインしてくれたので、戸惑うことなく歌えました。私たちも若かったですからね(笑)。 『あなたのイエスタデイ』は、ミキさん(藤村美樹)がメイン・ヴォーカルで、本当にいい歌! メインパートの担当は、いつもディレクターが決めていたのですが、歌い手のイメージが事前にない時は一人ずつ歌って、オーディションのように試されていました。拓郎さんの曲はどれも素敵ですよね」