キャンディーズ・伊藤蘭が明かす、アン・ルイス考案“小悪魔衣装”への印象 46年ぶりの『紅白』出場で届けた想いとは
アルバム曲はカバー作品も上位に、人気番組で10年流れ続けた曲も
続いて、アルバム曲について見てみると、Spotifyランキング最上位は第11位の「帰らざる日のために」。本作は、いずみたくシンガーズのオリジナル版が未配信のためキャンディーズ版が大人気ということもあるだろう。だが、3人が懸命に歌う姿には、青春歌謡ならではの哀愁が漂っていて、初期のキャンディーズによく合っている。 「これは、いずみたく先生の作品ですよね。デビューから間もない頃は、ステージでミュージカルを模したコーナーがあり、女の子3人の友情物語をベースとした脚本を、マネージャーが書いてくれていたんです。そのコーナーの最後にこの曲を歌っていた流れで、アルバム用にレコーディングもしたんだと思います。その時のお芝居は、当時のバラエティ番組によくあったコント仕立てではなく(笑)、デビューを目指していた女の子の挫折と友情を描いた、まじめな内容でしたね。 当時、何作かカバーがあるのは、自分たちのオリジナル曲がまだ揃っていなかったこともあるでしょうね。郷ひろみさんの『愛への出発(スタート)』(Spotify第33位)や、南沙織さんの『傷つく世代』など、主に(所属レコード会社である)ソニーの、他のアーティストさんの楽曲を歌っていました」 アルバム人気曲をさらに見ていくと、2番手の第15位に、事務所の先輩だったザ・ピーナッツのカバー「恋のバカンス」、そして3番手の第18位には、オリジナル曲「ラッキーチャンスを逃さないで」がランクインしている。 本作は、“フィーリングカップル5vs5”という名物コーナーがあった素人参加型の恋愛バラエティー番組『プロポーズ大作戦』のオープニングテーマ曲。MBS系でスタートし、後にテレビ朝日系で放送された同番組では、’75年から’85年まで同じテーマ曲が使われていた。 「この曲は、’78年に私たちが解散してからも毎週、番組で流れていて、“こんなに長く可愛がってくださっているんだ”とありがたく思いました。作詞は竜真知子さん。当時、コンサートでもよく歌っていた私のソロ曲『くちづけのあと』(第29位)など、たくさん作っていただきましたね」 続くアルバムオリジナル曲は、第21位の「悲しきためいき」。昨年の伊藤蘭のコンサートでも歌われていたが、メインとサブのパートが掛け合ったり、サビで美しいハモりが入ったりと、まさにキャンディーズを意識して作られたドラマティックなナンバーだ。 「これは、キャンディーズ時代から人気の曲で、当時からステージでもよく歌っていました。今も、とっても盛り上がるんですよ」 他にも、全体の順位を見た中で気になる曲を尋ねると、 「シングルA面曲の中では『ハート泥棒』が第23位になっていますが、この曲は隠れたファンも多いんですよ。’21年に開催した日比谷野音のコンサートでも歌ったほどです。解散から40年以上経っているのに、こうしてアルバム曲も聴いていただけているのはとても嬉しいですね」 そういえば、筆者個人は、キャンディーズの解散コンサート『ファイナルカーニバル』にて、スー(田中好子)がバイクのけたたましい騒音の中、黒いヘルメットを手に登場して歌う「午前零時の湘南道路」という楽曲に強烈な印象があった。キャンディーズ50周年記念のCD BOX『Candies The Platinum Collection~50th Anniversary~』で、伊藤蘭が“マイ・フェイバリット・コレクション”の1曲として本作を選曲していたので、参考までに尋ねてみると、 「確かに、『午前零時の湘南道路』はカッコいい曲ですよね! かつて、美樹克彦さんが、ヘルメットを回して歌う『赤いヘルメット』という曲があったのですが、それをスーさんがやりたいと言ったので、似た演出をファイナルコンサートでもやっていたんです」 とのこと。こうしていろいろ尋ねてみると、キャンディーズはヒット曲以外にも興味をそそる楽曲が多いので、これを機にサブスクで一挙に聴くことをおすすめしたい。