なぜ東京五輪の侍J代表にオリックス宮城、巨人岡本、阪神佐藤、梅野らは選ばれなかったのか?
野手では捕手がソフトバンクの甲斐拓也、広島の會澤翼の2人制となり阪神の梅野隆太郎が落選した。打率.225は、広島の會澤の.278よりも悪いが、得点圏打率.381はリーグトップで阪神の快進撃を支えている一人。梅野は強肩に加え走力もあるが、プレミア12で見せた會澤のリード面を含めた経験値の高さが評価された。 ただ曾澤は15日の西武戦で足を怪我してゲームを途中で退いており、「昨日、足を痛めたようなので球団関係者の報告を待っている最中。話を聞いてから今後どうするかを決めていきたい」と稲葉監督。現時点では内定の状況でメンバーの入れ替えはまだ可能だという。 阪神では“怪物ルーキー”の佐藤輝明も外れた。16号をマークしている一方で、両リーグワーストの三振数88の不安定さが、短期決戦の五輪では怖かったのだろう。 同じく巨人の岡本和真もメンバー入りできなかった。三塁のポジションが重なることから村上か、岡本かの選択だったのだろう。岡本がセの打点トップで村上が20本を打ち本塁打でトップ。岡本は国際試合で結果を残せていないことが引っかかったのかもしれない。 稲葉監督は村上を選んだ理由としてパワーと共に「守備も安定し、1試合の中で修正能力があり実力がついてきた。あの若さでピッチャーに声をかける姿とか、顔つき、体つき、プレ―スタイルも大きく成長した」と絶賛していた。 プレミア12では稲葉監督がそのリーダーシップを絶賛したソフトバンクの松田宣浩が、三塁を守ったが、今季の打率.241、7本、28打点の数字では、さすがに選出は難しかった。 走塁のスペシャリストとしてプレミア12では、重宝されたソフトバンクの周東佑京も選から漏れた。稲葉監督もスペシャリストの選出には議論があったというが、28人から24人に人数を削る作業の中では代走要員を入れる余裕はなかったのかもしれない。ただ13人の野手の顔ぶれを見てスピードのある選手が、西武の源田壮亮、ソフトバンクの柳田悠岐、ヤクルトの山田哲人の3人しかいないのは気になる点。 安打数でパのトップに立つロッテの荻野貴司、阪神のスピードスターの近本光司も選から漏れた。外野の守備固め要員もいない。 メンバー入りしたソフトバンクの栗原陵矢は、内外野に加えて捕手もこなすユーティリティプレーヤーで人数制限のある国際試合では貴重な選手だが、どちらかと言えば打撃優先のプレーヤー。また楽天の浅村栄斗は、守備機会があるとはいえ、本来の守備位置ではない一塁で起用する考えで、西武の外崎修汰が間に合わなかったことでチームバランスとしては、守備力と機動力を生かすようなスピードの面に欠ける構成となった。 稲葉監督は「守備軽視というわけではなく投手中心の守りの野球をやっていくメンバーを選んだつもり」と説明している。 若手を除くと、今季の成績や現在の調子より、国際試合経験と実績重視で選ばれた傾向が目についた。北京五輪ではコンディション不良の選手を何人かメンバーに入れてうまくいかなかったという例もある。ただ稲葉監督は、その北京五輪の代表メンバーの一人。その経験に加え、2017年から侍ジャパンの指揮を執ってきた成功と失敗を糧に金メダルを獲るために選んだ“24人の侍”である。悲願の金メダル獲得へサイは投げられた。