給油口の横にある「謎の“青いフタ”」は何のため? 実は「人間を守る」重要な役割あり! ガソリンじゃない「入れるモノ」とは?
青いフタから補充する「環境を守る」液体とは?
近年、ディーゼル車の給油口に見慣れない「青い蓋」があるのをご存知でしょうか。 この蓋はとある液体を補充する場所で、実はディーゼル車にとって欠かせない重要な役割を担っています。 その液体とは一体どのようなものなのでしょうか。 【画像】「え…!」 これが給油口の中身です! 意外な構造を画像で見る!(23枚)
ディーゼル車の給油口近くにある青い蓋は「AdBlue(アドブルー)」という尿素水の補充口です。 アドブルーは世界的に厳しいドイツ自動車工業会(VDA)の認証を受けた製品にのみ使われる名称で、排ガス規制をクリアするためにディーゼル車に不可欠な要素となっています。 従来のディーゼルエンジンは燃費が良い反面、窒素酸化物や炭化水素、浮遊粒子状物質などの有害な大気汚染物質を多く排出し、呼吸器疾患や酸性雨、光化学スモッグの原因となる問題が指摘されていました。 そこで、これまでのものより有害な大気汚染物質の排出を低減したクリーンディーゼル車では、こうした有害物質を効率的に燃焼したり、フィルターで捕集したりするシステムが搭載されています。 特に、アンモニアを使って窒素酸化物(NOx)を減らすための排気ガス浄化システムである尿素SCRシステムは、窒素酸化物の分解に有効です。 このシステムにアドブルーが使用され、窒素酸化物を窒素と水に分解する役割を果たします。 なお、アドブルーは燃料と同じように消費され、エンジンをかけるだけでも減るため、定期的な補充が必要です。 使い切るとエンジンが動かなくなるリスクがあり、残量がゼロでもエンジンを止めなければ一時的に走行可能ですが、早急な補充が求められます。 もしエンジンが一度停止すると、アドブルーを補充するまで再始動できなくなるため注意が必要です。 アドブルーの補充は簡単で、ほとんどのガソリンスタンドで購入でき、作業時間は5分から10分程度で済みます。 車種や使用状況によりますが、アドブルー1リットルでおよそ1000キロ走行できるのが目安です。 アドブルータンクの容量はメーカーや車種ごとに異なり、一般的な乗用車やバンでは7リッターから13リッターのタンクを搭載しています。 残量が少なくなると警告メッセージが表示される車種もあるため、適切なタイミングで補充することが大切です。 特にアイドリングが長いとアドブルーの消費も増加します。 クリーンディーゼル車の普及に伴い、アドブルーも徐々に世界的に需要が高まっていますが、2021年には供給不足による価格高騰が発生しました。 現在は価格が安定し、軽油と同程度で販売されています。 排ガス規制をクリアするために開発されたクリーンディーゼル車において、アドブルーはその排ガス浄化システムの要であり、快適な運転のためにも定期的な補充を忘れずに行うことが重要です。
くるまのニュース編集部