<TPP交渉をきっかけに議論に> 著作権侵害が「非親告罪化」したらどうなる? 弁護士・中川隆太郎
【注】 ※1:TPPの秘密協議性については、透明化を求める声が国内外の多くの団体・研究者らから上げられています。 (1)80名を超える米国知的財産法研究者らのオバマ大統領宛て公開書簡 (2)EFF(電子フロンティア財団)ほか世界10カ国49団体の公開書簡 (3)thinkTPPIPの緊急声明 ※2:UGCに関する権利処理実務の全体像については、福井健策=中川隆太郎「UGCと著作権―進化するコンテンツの生態系」(IPマネジメントレビュー14号)参照。 ※3:YouTubeのコンテンツIDプログラムやニコニコ動画のライツコントロールプログラムなど、権利者がUGCを追認する(代わりに広告収入を得る)ためのスキームが構築されているケースも少なくありません。例えばコンテンツIDプログラムに権利者が参加している場合、ユーザーが当該権利者の著作物を利用したUGCを投稿すると、それが権利者へ通知され、権利者はその判断により、当該動画を削除するだけでなく、動画を追認しつつ当該動画から得られる広告収入の一部を受け取ることなども選択可能です。 ※4:TPPでは、レコード会社や実演家などの著作隣接権の侵害についても、著作権同様、非親告罪化が議論されているといわれています。 ※5:下記の山元氏発言及び古谷氏発言参照。そして、その後の検討の結果、「非親告罪とした場合の社会的な影響を見極めることも必要であり、慎重に検討することが適当」との結論が出されています。 ※6:TPPでも著作権の非親告罪化について、一定の範囲に限定する方向で議論が進んでいると報じられていますが、秘密協議であるがゆえにどのような限定がなされているか不明であり、コミケやUGC、あるいは企業活動等への悪影響を排除できるか否かは、「ふたを開けるまで分からない」状態です。 ※7:ご自身もコミケ出身である漫画家の赤松健さんも、かねてより懸念を表明されています。また、コミックマーケット準備会も、TPPにおける著作権の非親告罪化の導入について、「大変憂慮しています」とのコメントを公表しています。さらに、ニコニコ動画を運営する株式会社ドワンゴも「ネットユーザーの二次創作活動の大きな拠点であるニコニコ動画を運営する立場から、この状況を危惧」しているとしてthinkTPPIPの緊急声明への賛同を呼び掛けています。