【津ボート・GⅠ周年記念】松井繁が大会7度目制覇でGⅠ通算60V
津ボートのGⅠ開設72周年記念「ツッキー王座決定戦」(優勝賞金1200万円)は最終日の11日、12Rで優勝戦を争い、1号艇の松井繁(54)=大阪=がイン逃げで優勝。62周年以来10年ぶり7度目の大会制覇を成し遂げた。GⅠは60回目のVで、同一周年の7Vはボート界トップタイの記録。2着は2号艇の松尾充、3着は3号艇の磯部誠。4号艇の宮之原輝紀はプラス01のF。返還分を差し引いて、3連単は550円の1番人気。6日間の売上額は63億6840万3300円で、優勝戦の返還(1億8094万7200円)がなければ、目標の65億円をクリアしていた。
■ヒーロー “王者”の異名を持つ近代ボートレースで最強とも言える第一人者が新たな偉業を達成した。津を大得意にする松井が、実に7度目の大会制覇。各レース場の周年記念の最多V記録は、松尾泰宏(佐賀、引退)のからつ周年7Vというのが最多で、その数字に並んだ。「記録は知らなかったし、7回は出来過ぎ。何だかうまくいきました。本当にツイている」。“ツッキー王座”だからというわけでもないだろうが、ツキを強調して謙虚に喜びを語った。 ただ今節の足取りは、勝ち方を知る男らしい堂々たるものだった。6、4枠の2走だった初日を2、2着にまとめると、以後も大崩れなくポイントを積み重ね、予選最終日の連勝で一躍トップに浮上。Vへと最高のムードをつくり上げた。 そして迎えた優勝戦は、4カドの宮之原輝紀がプラス01とスリットを攻め過ぎたほどだったが、全く問題にしなかった。「苦しい隊形になったけど、うまく逃げられたと思う」。出足と行き足を的確に仕上げた機力の後押しと、鍛え抜かれた平常心で先マイを決めると、早々とVを確定づけた。 これで賞金ランクは13位。前検日の16位からさらに上昇し、暮れのグランプリ出場権確保に前進したが「大きなことを言える成績はなかなか取れていないから。(選考期間が)終わってからの話やね」。先を見過ぎないのもまた、勝負の奥深さを知る男だからこそ。 それでも「津には前から世話になっていて、ここでリズムを上げて、他のレース場に行くのが通例になっている。今回もここをきっかけに頑張っていきたい」とたっぷりリップサービス。このVを機にグランプリに返り咲くなら、S事故で沈んだ関係者のムードもさらに持ち直せるというもの。残り2か月半、王者が恩返しの走りを地道に続ける。(深堀慎一郎)
■プロフィル ◆松井繁(まつい・しげる)1969年11月11日生まれ。大阪府吹田市出身。北陽高卒業。登録番号3415。1989年5月デビューの64期。90年8月、芦屋の新鋭リーグで初V。GⅠは92年5月、戸田周年で初制覇し、今回のVで通算183優出60V。SGは96年5月、児島オールスターで初制覇し、通算68優出12V。一般戦も含めた全成績は428優出144V。年間タイトルはMVP5回など多数。168センチ、52キロ、O型。