海原雄山もビックリ?「野菜ナシの1人すき焼き」いきなりステーキ運営会社の新業態が非常識すぎて目が離せない!
いきなりステーキを運営するペッパーフードサービスが2024年11月、東京・新橋に新業態の「ひとりすき焼き」の店舗をオープンします。現状では「野菜なし」で「調理スタッフが焼いてくれる」コンセプトのようです。これは老舗すき焼きチェーンをも超える“非常識すぎて目が離せない発想”かもしれません。(百年コンサルティング代表 鈴木貴博) ● いきステのペッパーフードサービスが 新業態「ひとりすき焼き」をオープン! いきなりステーキを運営する株式会社ペッパーフードサービスが2024年11月、東京の新橋に新業態の「ひとりすき焼き」の店舗をオープンすることになりました。 いきなりステーキは「おいしいステーキを立ち食いで食べさせる」というコンセプトでまたたくまに大成功したのですが、店舗数を急拡大させてしまい、赤字転落し、多くの店舗を閉店させる結果になりました。 創業者である前社長は、経営者としては大きな失敗をしたのですが、飲食店のオーナーとしては「顧客が食べたいもの」をよく知っていた方だと私は感じています。 いきなりステーキのメニューのコンセプトは分厚いステーキ肉を高原価(つまり薄利)で提供するというものでした。これだけでも「顧客が食べたいもの」のコンセプトに合致するのですが、いきなりステーキの開業当初のコンセプトが凄かったのはその提供の仕方に関する3つのアイデアです。 ひとつは顧客が肉の部位を選べること。ふたつめに顧客が肉を切る厚さを指定できること。そして3つめに「ヒレステーキなら1g9円(当時)」といった具合に安くて明朗会計だったことです。 このことで「肉好き顧客」の夢が叶います。分厚い牛肉のステーキが食べられればそれだけで幸せという願望が実現したのです。
いきなりステーキが「事業」として成立したのは、顧客ニーズにフォーカスしたうえで、不必要なものをすべてカットしたことです。 高級ステーキ店のひろいテーブルやゆったりとした椅子といった同伴者と会話を楽しめるスペースを省き、おひとりさまの立ち食いにします。 そのことで店舗面積は小さくて済み、顧客の回転率も上がり、いきなりステーキはビジネスとして成立できたのです。 ● 「ひとりすき焼き」コンセプトは素晴らしいが オープン前に“改悪”する可能性も? さて、本題の「ひとりすき焼き」の話に移りたいと思います。 実はいきなりステーキがひとりすき焼きのお店を始めるというニュースを耳にしたときに、「ぜひ開業前に記事を書いてみたい」と思いました。 普段は飲食店を記事にするにあたっては、評論家のマナーとして来店して実食してそれで語ることにしているのです。ですが、今回の記事はお店が始まる前に書かないと意味がないのです。 理由はこのすき焼き新業態、「肉好き」の顧客の目線で言わせていただくとものすごくコンセプトがいい事業アイデアなのです。一方で、これまで戦略コンサルタントとして無数の新事業立ち上げを見てきた立場で言わせていただくと、事業化前の段階で潰されやすいアイデアなのです。 一言で言えば、11月の開店時には失敗する方向に方向転換しているかもしれないと危惧しているのです。 別の実例の話を先にします。ものすごくコンセプトがよくて、会社の側も成功したと思っていて、でも肉好きが実はがっかりした商品のひとつに、ローソンストア100の「だけ弁当」があります。