くも膜下出血になったらどんな手術・治療をするかご存じですか? 死亡率は?
くも膜下出血の再発予防は?
編集部: 手術をしたら、脳動脈瘤が再破裂することはないのでしょうか? 上田先生: 治療を行わなかった場合、1ヶ月以内に再破裂する確率は70%くらいといわれています。しかし、きちんと治療を行った場合には再破裂をほぼ防ぐことができます。 編集部: 手術をしたら、もう脳動脈瘤ができることはないのですか? 上田先生: いいえ、手術によって社会復帰できたとしても油断することはできません。一度、くも膜下出血に至った人は、再び脳動脈瘤が発生し、破裂することもあります。 編集部: 予防するにはどうしたら良いのでしょうか? 上田先生: 一度くも膜下出血を起こした人は、退院後も定期的に医療機関を受診し、CTやMRI検査を受ける必要があります。あわせて高血圧や喫煙の習慣はくも膜下出血の原因になりやすいため、日常的にそれらに注意するようにしましょう。 編集部: 生活習慣に気をつけることも大切なのですね。 上田先生: はい。それから大量の飲酒や生活習慣病にも気をつけましょう。またくも膜下出血の発症には遺伝が関係しており、身内にくも膜下出血を発症した人がいる場合は高い確率で発症することがわかっています。そのような場合は特に生活習慣に気をつけるようにしましょう。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 上田先生: くも膜下出血の発症で気をつけたいのは家族歴です。もし、両親や兄弟姉妹でくも膜下出血を発症した人がいる場合は、気になる症状がなくても、できれば30代のうちに脳ドックを受けたり、脳神経外科を受診して検査を受けたりするのがお勧めです。もちろん、家族歴がなくてもくも膜下出血を起こすことはあります。遅くとも40代になったら一度は検査を受けるようにしましょう。 編集部まとめ 死亡率が高い疾患として知られるくも膜下出血。治療の基本は手術ですが、喫煙や高血圧など生活習慣に気をつけることも大切です。 特に家族歴のある人は健康に注意するとともに、できるだけ早いうちに脳ドックやMRI検査を受け、病気の兆候がないかどうか調べてもらうようにしましょう。
【この記事の監修医師】 上田 啓太 先生(上田クリニック) 東邦大学医学部医学科卒業。その後、東邦大学医療センター 大森病院、東京蒲田医療センター、東邦大学医療センター佐倉病院などで脳神経外科医として勤務。2022年、神奈川県横浜市に位置する「上田クリニック」の院長に就任。難病指定医。日本脳神経外科学会専門医・指導医、日本脳卒中学会専門医・指導医、日本脳神経血管内治療学会専門医。日本頭痛学会、日本老年脳神経外科学会の各会員。
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