XGにアメリカが大熱狂 北米公演で7人が見せた奇跡、音楽愛、揺るぎないメッセージ
多様な人々を肯定するXGの世界観
ここからは昨年リリースされたファーストミニアルバム『NEW DNA』の世界へと突入。「HESONOO」で繋がった7つの地球外生命体が長い冬眠から目覚め、美しい「生まれ変わり」の物語が始まる。「X-GENE」で会場を再び覚醒させ、まるで銀河を駆け抜ける宇宙船にALPHAZを乗せるようなコンセプトで空気を変える。勢いそのまま、サイケデリックなクィアダンスクラブへとテレポートするかのように「TGIF」でALPHAZを踊らせ、その夜一番の盛り上がりを見せた。「他と違う」ことを美しいと捉え、異端児であることを受け入れ、その「違い」を際立たせるヘアメイクで日本でも話題を集めているXGだが、まさにその「どんな自分でも良いという肯定感」を爆上げしてくれるのがこの曲だ。 ここからはどんどん「爽やかなXG」の見せ場へと突入。自信みなぎる「MASCARA」では、まさに「私たちはこれをやるために生まれてきた」と主張するような清々しさ、そして「SOMETHING AIN’T RIGHT」や「PUPPET SHOW」では「音楽は楽しい!」ということを体と音楽で溢れんばかりに体現する。否が応でも踊らせるポップなダンストラックは、アメリカのツアーで特に映えることを、ALPHAZの会場が割れるほどに大きな声援によって驚くほどに突きつけられた。そしてXGのベースにある「音楽を楽しむ、音楽は楽しいと伝える」能力の高さを引き出すのは観客次第だとも、改めて実感した。お客さんの「XGと一緒に楽しみたい」「XGの人生を全力で応援したい」というハッピーで自由なヴァイブスが、この日の彼女たちのパワーにも確実に影響を与えていたと思う。 アンコールを求め「XG」を連呼する声援をPAブースで感慨深く眺めつつ、関係者に挨拶をして回るSIMON氏はまさに「見守る父」の姿だった。アンコールではボルテージがMAXに上がる「NEW DANCE」と「LEFT RIGHT」を披露し、通路は踊っている観客で溢れかえる。「ありがとうございました!」と最後に日本語で感謝をのべ、深々とお辞儀をする姿もSNSで「日本の文化の素晴らしさ」として讃えられた。人間として愛されるメンバー、そしてトレンドに左右されず愛される音楽をファーストに、XGというプロジェクトを慎重に続けてきているからこそ、どこの国へ行っても音楽という共通言語を用いて「感動」と「勇気」を届けられるのだと、ひしひしと実感した。約1年前、韓国での取材で「自分たちの音楽、そして音楽の素晴らしさを世界中の人々に伝えたい!」と意気込んでくれた彼女たちは、今こうして夢を確実に実現させている。そしてその姿は、また新たに誰かに元気を与えるだろう。 人種的にもアイデンティティ的にも多様な人が集うベイエリアでの公演だからこそ、XGが提示する「自由に自分を楽しむ」世界観が、独特のポジティブな反応を起こしていたと思う。どれだけみんなが叫び、踊っても、周りの人のことがほとんど気にならなかったし、XGの物語と音楽に没頭できる、間違いなく素晴らしいショーだった。ベースにあるスキルが桁違いに高いし、楽曲がどれも音楽的に最強であり、もちろんどこに行っても(特にアメリカでは)戦える。しかし同時に、アジア系カルチャーへの愛情がこれほどに深く、そしてしっかりと確立されている場所では、こんなにも純度が高く共感されるものなのかと驚く瞬間も多々あった。世界がどんどん多様化し、音楽の選択肢も広がっていく中で、XGは「音楽への愛」を中心に持ち続けさえすれば、世界中で愛され続け、革命を起こしつ続けるだろう。 --- XG 2nd Mini Album『AWE』 2024年11月8日リリース 【本日10/25放送】 MUSIC STATION XGが最新曲「IYKYK」をTV初披露 2024年10月25日(金)21:00~
Daniel Takeda