XGにアメリカが大熱狂 北米公演で7人が見せた奇跡、音楽愛、揺るぎないメッセージ
XGの快進撃は止まらない。現在開催中のワールドツアー「The first HOWL」で全8都市を回る北米公演は連日大盛況。10月8日のサンフランシスコ公演を目撃した竹田ダニエルの現地レポートをお届けする。 【写真ギャラリー】XG「The first HOWL」北米公演ライブ写真
アメリカでも揺るぎないXGの「強さ」
待ちに待った、XGのサンフランシスコ公演。昨年、Forbes JAPANで彼女たちにとっての初となる雑誌表紙の取材を行った時に語ってくれた「世界ツアーをするという夢」をまさに実現する瞬間を、目撃することができたのだ。今回ライブが行われたBill Graham Civic Auditoriumでは私自身、過去にはThe 1975やアークティック・モンキーズなど、大スターたちのライブを観たことがある。最大で8500人を収容することができ、ベイエリアの屋内ライブ会場では最大規模のものだ。 会場の外に並んでいる段階で、客層の多様性に気づく。人種、年齢、性別など、アメリカ国内で最も多様な街であるサンフランシスコにおいても、なかなかここまで自由度の高い客層は見かけない。ストリートスタイル風、WOKE UPの衣装のコスプレ、普段着など、XGの音楽を普段から聴いている人たちのバックグラウンドの幅広さが服装から伺えた。開演前には古き良きR&Bの名曲が流れ、中でもベイエリア出身であるキーシャ・コールの「Love」が流れたときには大合唱が巻き起こった。 「WOKE UP」のリミックスが流れ大歓声が起こり、会場のボルテージが上がったところで、「Time to Say Goodbye」が流れ始め、会場には緊張感が走った。地球の映像がステージに映し出され、「音楽は世界を繋げる」「宇宙を走り抜ける」というXGのミッションを連想させる。目を光らせた狼たちの映像と共に地響きのような音が鳴ったところで、ロックアレンジの「SHOOTING STAR」でショーの幕が開ける。登場した瞬間から、XGは「強さ」に揺るぎがない。大きなサングラスで顔の約半分が隠れていても、それぞれから溢れ出るカリスマ性と個性は、海外でのツアーを経て何倍にも増したなと、ライブを見るのが3回目の私でも強く実感した。メンバー一人ずつにスポットが当たり、そのたびに地球が割れそうなほどの歓声が沸き起こる。いかに彼女たちの登場をファンたちが待ち侘びていたのかが「音」という形でひしひしと伝わる瞬間だ。 曲間ごとにALPHAZによる狼の鳴き声や歓声が上がり、鳴り止まないままどんどん次の曲へと進んでいく。「強さ」のテーマを拡張すべく、重いビートに乗せたダンスブレイクが始まる。メンバーのダンスの実力、そしてまるで「一つの生命体」として繋がっているかのような動作の連動で観客を盛り上げ、同時に圧倒させる。のちに待ち受ける「歌とラップのパフォーマンス」を裏付けるかのように、ここで一つの「前提」が見せつけられる。 「強さ」がテーマのXGの曲といえば、「GRL GVNG」。ラップパートでは観客も一緒にラップをし、会場全体が「無敵のチーム」であるかのようなムードが醸成される。そしてこの曲がリリースされたとき、「宇宙人のような、最強のガールズ集団」というコンセプトが一気に腑に落ちたことを思い出す。そこから休む間もなく、「WOKE UP」へとスムーズに転換する。ヘヴィなビートと個性的なラップ/ボーカルスキルに焦点を当てる歌割りによって、それぞれのメンバーがソロを取るたびにALPHAZの叫び声が上がる。ハードなラップとキレの強いダンスを軽快にこなすバランス感覚が、まさに「地球外生命隊」のような不思議さを醸し出す。特にラストに向けて、まるで分子レベルでプログラミングされているかのような寸分の狂いのない動きと、動きの大きいダンスに圧倒されたまま、デビュー曲「Tippy Toes」のアイコニックなイントロが始まる。デビュー時のMVやダンプラ動画では若さやスタイリッシュさが印象的だったが、本会場では成熟した妖艶さとミステリアスさ、説得力、とまるで7人で世界を征服しにきたかのようなするような勢いで会場がどよめく。最大の見せ場である、ビートドロップ後のウィスパーの部分では大歓声が上がり、デビュー当時の彼女たちと今まさに世界ツアーでアメリカの観客を沸かせている彼女たちを脳内で並べて感慨深さに浸ってしまう。