「株ってどう買う?どう運用?」戸惑う高校生 保険、資産形成…家庭科で「お金の教育」 投資経験ない教員も、高い専門性に悩む
成人年齢が18歳に引き下げられたことに伴い、高校を中心に家庭科の学習の幅が広がっている。新学習指導要領で消費生活に関する内容が位置付けられ、金融経済教育に取り組むようになった。社会に出たときに必要となる知識だが、生徒にとっては親しみのあるテーマとは言い難い。専門知識が必要な分野でもあり、教員側も教え方に悩むといった課題に直面している。 【図】新学習指導要領で学ぶ家庭科の概要
■高校で専門家の講座 保険金融業の一端に触れる
「ライフステージに合わせてリスクを正しく認識し、どう対処するのか判断できるようになってほしい」
昨年12月1日、長野市の長野日大高校体育館。三井住友海上火災保険長野支社(長野市)支社長代理の加藤愛さんが「お金の教育」の金融リテラシー講座で、同高1年生300人余に語りかけた。生徒たちは保険金融業の一端に触れる機会になったようだ。
■成人年齢が18歳に引き下げ 契約トラブル防止は高校家庭科で学ぶことに
実生活に関わる分野を学ぶ家庭科。一般的に家庭科室や調理室などで行う実習のイメージが強いが、消費生活や金融経済に関する学習内容も重要なテーマとなっている。高校では学習指導要領の改定に伴い2022年度から、家庭科で株式、債券、投資信託といった金融商品の仕組みや、生活設計の考え方などを学ぶようになった。
同年度から成人年齢が20歳から18歳に引き下げられたことが背景。クレジットカードの利用やローン契約、金融商品の取引などは親の同意がなく行えるようになり、トラブルに直面する懸念が増した。長寿化に伴い、若いうちから生涯の資産形成を考える重要性も指摘されている。
■「金融リテラシー、学んでいく必要感じた」
同校はこうした流れを受けて、卒業生でもある加藤さんを招いて講座を開いた。加藤さんは「損害保険編」と題し、金融商品の一つである損害保険について解説。自動車事故や家財損傷など生活のさまざまなリスクに備える保険の役割を説明した。
講習を終えた倉島大翔(ひろと)さん(16)は「さまざまなリスクに備える金融商品があることが分かった」。加藤花菜さん(15)は「金融リテラシーを意識したことはなかったが、将来に向けて学んでいく必要を感じた」と話した。