「株ってどう買う?どう運用?」戸惑う高校生 保険、資産形成…家庭科で「お金の教育」 投資経験ない教員も、高い専門性に悩む
■長野県や日銀松本支店が学校を支援
こうした教育現場のニーズを受けて、県や日銀松本支店などでつくる県金融広報委員会は講師の派遣や指導書の提供などをする「金融教育研究校」を委嘱。2023年度は下高井農林高校(下高井郡木島平村)など県内小中高計5校を支援している。
高校では、自分がしたい生き方に見合った生涯の収入や支出を予測し、将来設計を考える授業などを展開する。小中学校でも、お金との付き合い方を考える授業などを支援している。研究校の東筑摩郡麻績村筑北中学校が昨年11月に行った3年生の公開授業「くらしと経済」では、生徒たちが人生の疑似体験を通じて消費や貯蓄の必要性などを体感し、家計管理について考えた。
■教員向けの研修講座や外部講師の紹介も
家庭科を専門とする県教委学びの改革支援課指導主事の三木舞子さんによると、現場の教員からは具体的な指導の難しさを訴える声が多く届いているという。
県教委は家庭科教諭が参加する研究会に県金融広報委員会から講師を招いて金融教育の模擬授業を実施。教員らが受講できる研修講座の開催や、消費生活センターなどの外部講師の紹介もしている。三木さんは「変化が激しい中、現場は児童生徒を考えて努力している。先生の声に耳を傾け、必要な支援を継続的にしていきたい」と話している。
■「お金との付き合い方 小遣いのやりくりからでは想像できない」 「お金の教育」で学んだ高校1年生は考えた
高校受験時に時事ニュースを勉強し、円安が物価高につながっていると分かり、面白さを感じました。ニュースを深掘りし、今の社会で何が起きているのかを金融教育の授業でもっと知ることができるといいなと思います。
政府が投資を呼びかけていますが、弟が両親に「株をやりたい」と言ったときに「勉強してからにしなさい」と言われたことを覚えています。私は株の売買で利益を得るというよりは、株主優待に関心がありますが、株をどう買って、どう運用すべきかはよく分かりません。1人暮らしをするときに向けて、高校の授業でもこうしたことを具体的に教えてほしいです。
お金との付き合い方は、小遣いなどでやりくりする高校生からすると想像できないことが多い。社会で必要な金融についての知識を、高校のうちからしっかり身に付けられるといいと思います。