「株ってどう買う?どう運用?」戸惑う高校生 保険、資産形成…家庭科で「お金の教育」 投資経験ない教員も、高い専門性に悩む
■「貯蓄から投資へ」資産形成もテーマに
高校の新たな学習指導要領は、家庭科(家庭基礎の場合)の構成を「人の一生と家族・家庭及び福祉」「衣食住の生活の自立と設計」「持続可能な消費生活・環境」などに大きく分けている。
このうち消費生活は、高校2年までに履修する項目。成人年齢の引き下げを受け、契約の重要性や消費者保護の仕組みなど、消費トラブルの防止につなげる内容を学ぶ。国が「貯蓄から投資へ」を促していることもあり、人生設計に適した家計の収支バランスや、金融商品への投資を通した資産形成もテーマとなる。
■小学校で売買契約の基礎 中学校で消費者被害の背景と対応
金融教育が家庭科の学習内容に盛り込まれたのは、小中学校も同様だ。小学校は一足早く20年度、中学校は21年度に新学習指導要領が導入され、家庭科(中学校は技術・家庭科)の構成は「家族・家庭生活」「衣食住の生活」「消費生活・環境」となった。小学校では売買契約の基礎を学び、中学校では消費者被害の背景とその対応などを考える内容が新設されている。
■学習の幅が広がる家庭科 現場は身につく授業を模索
時代や社会の変化によって学習の幅を広げている家庭科。ただ、消費生活に関する学習内容のうち、特に金融教育は専門性が高い分野であり、投資などの経験がない教員もいるのが実情だ。教える側の負担の増加や、子どもたちの身につく授業をどう進めるかなど、課題は残っている。
県教育委員会学びの改革支援課によると、金融教育は(1)教員が授業(2)教員と外部講師が協力して授業(3)外部講師が授業―といった方法で実施されているという。
「金融を専門にしている人が教えに来てくれれば、正直ありがたい」。北信地方の家庭科の女性教諭はそう話す。専門性が高い金融教育について「苦労しながら授業を考えている」からだ。
政府が「資産所得倍増プラン」を打ち出し、1月に新しい少額投資非課税制度(NISA)がスタートするなど金融を取り巻く環境は変化が多い。この女性教諭は、両親から小遣いをもらってやりくりしてきた子どもたちに金融の仕組みを教えることについて「難しい制度を身近に考えられる授業をすることはハードルが高い」と受け止める。