日本製鉄 中国・宝鋼との自動車用鋼板製造合弁事業を解消
日本製鉄は23日、中国鉄鋼最大手・宝武鋼鉄集団傘下の宝山鋼鉄と折半出資で持つ自動車用鋼板製造会社の宝鋼日鉄自動車鋼板(上海市、BNA)について合弁を解消すると発表した。経営期間の満了期日を迎える本年8月29日に全出資持分を宝鋼に譲渡することで23日に同社と合意した。譲渡額は17億5800万元(約367億円)。日系自動車メーカーの現地生産の支援という設立当初の目的を十分に達成したと判断。宝鋼はじめ現地鉄鋼メーカーの技術力が向上し、日系需要家の調達条件が変化したことも考慮した。 関係当局の承認を得られることが条件となる。両社は市場環境の変化を受けて合弁契約の満了期日を迎えることを踏まえ、2年前から合弁事業のあり方について協議を進めていた。日本製鉄はBNAに材料の原板の一部を日本から輸出しているが、宝鋼の100%子会社となることで原板は全量宝鋼製に切り替わる。BNAに派遣している日本製鉄の社員20人弱は順次日本などに異動となる。 BNAは現地生産化し、生産能力を拡大していた日系自動車メーカーへの高級鋼板の現地供給に対応するため、2004年に設立し、05年に稼働を始めた。冷延設備と連続焼鈍処理設備、溶融亜鉛めっきライン4基を備え、生産能力は年262万トン。冷延鋼板と溶融亜鉛めっき(GI)鋼板、合金化溶融亜鉛めっき(GA)鋼板を製造し、日系はじめ欧米系や民族系の自動車メーカーに供給している。資本金30億元。23年の利益は5億3000万元。 日本製鉄が中国に持つ特殊鋼鋼線や鋼管、ブリキの製造事業会社は事業を継続するとしている。