年収1000万円でも「生活ギリギリ」 “700円マック”人気が象徴する米国「超・二極化」現地レポート
数字でも明らかな格差…日本も他人事ではない
数字で見ても、アメリカでは世帯年収20万ドル以上(約3000万円以上)の富裕層が人口の約20%、世帯年収4万ドルから約15万ドル(約600~2200万円)の中間層が人口の約60~70%、世帯年収4万ドル未満(約600万円未満)の低所得者層が人口の約20~30%をそれぞれ占めているとされる。 個人消費の二極化が進むアメリカでは、今後、この中間層が低所得層に転落するのか、もしくは所得が増え、可処分所得も増えるかが国内経済の大きな関心であるという。なにせ、アメリカの個人消費はGDPの70%前後を占めている(ちなみに、日本は約55%)。個人消費はアメリカ経済において、大きな役割を果たしているのだ。 いわずもがな、日本経済にもアメリカの個人消費=アメリカ経済は大きな影響を与える。 グローバル化した各国の経済は為替の影響を強く受ける。為替の変動は金利の状況に連動するため、アメリカの金融政策を決定するFOMC(Federal Open Market Committee=連邦公開市場委員会)の金利決定は、日本も無関係でいることはできない。 FOMCは、インフレ、失業率、経済成長、金融市場の安定、国際経済、家計消費・企業投資の状況によって金利を決定する。金融市場の安定、国際経済の動向、企業投資以外の判断材料は、国内個人消費と密接に関係している。このため、アメリカの個人消費は、日本に住む我々にとっても他人事ではないのがわかるだろう。
中間層は「貯金できない」
アメリカの物価を表す消費者物価指数CPIは、8月は前年同月比2.5%と、コロナ禍のピークである9.1%(2022年6月)に比べると落ち着いているものの、低所得者層を中心に家計は厳しい状況となっているようだ。 ニューヨーク郊外に住む「子持ち・賃貸・車あり」の年収1000万、いわゆる中間層の日本人のビジネスパーソン(40代)は、現在の状況をこう話してくれた。 「貯金も出来ずギリギリの生活環境だ。教育費も基本的に日本より高いこともあるが、それよりも物価高の定着が家計に大きな影響を与えている」 また、ニューヨーク在住でヤンキースタジアムで共に試合を観戦した作家・冷泉彰彦さんは次のように語った。 「ニューヨーク郊外のスーパーでは、加工食品などのディスカウントが増えている。安くしないとモノが売れない環境が見受けられる」 これは景気後退のシグナルとも感じられる。