花粉症の根治を目指すなら今が始めるタイミング “舌下免疫療法”の効果とは
治療薬の供給不足が続く。早期対応がカギ
舌下免疫療法は保険が適用され、保険料3割負担の方は初診が4000~5000円、以降は毎月2000~3000円程度の費用になります。実は、この費用感と簡単さ、治療効果の高さから舌下免疫療法を開始する人が増加しており、製薬会社での生産が追いつかない状況が2023年から続いています。2024年現在も引き続き数量を限定した出荷が見込まれており、さまざまなクリニックで新規受付を中止するなどの対応がされ、今後の見通しはつきにくくなっています。こういった状況からも、舌下免疫療法を希望する場合は治療を受け付けている医療機関を探し、早めに受診しましょう。
花粉シーズンは“症状が出る前”、に治療を開始するがカギ
舌下免疫療法に加え、毎年花粉症に悩まされている人は、花粉シーズンの前から治療を開始する“初期療法”を受けることをおすすめします。初期治療で主に使用される“抗ヒスタミン薬”は、アレルギーの原因となる“ヒスタミン”のはたらきを阻害して、くしゃみや鼻水、鼻づまりといった花粉症のつらい症状を抑える効果が期待されます。この薬を早い段階から使用することで、花粉飛散のピーク時を含め症状をコントロールすることができ、重症化予防につなげることもできるでしょう。実際に花粉症の治療ガイドラインでも、症状が出る前あるいは軽い症状の段階から治療を受けることを推奨しています。私の場合、患者さんに花粉飛散が予測される2週間前から抗アレルギー薬を使用することをおすすめしています。
市販薬で我慢せず受診を検討
症状が軽い場合などでは、市販薬に頼ることも少なくないでしょう。しかし、市販薬は安全面を考慮し、有効成分の含有量が少ないため、十分に効果を感じられないこともあります。近年では医師の処方が必要だった薬が市販薬として登場し、選択肢が広がっていますが、選び方は自己判断となるため注意が必要です。市販薬の選び方が分からない、効果を感じられないといった方は、医師に相談しましょう。
花粉シーズンを楽に乗り切るためには早めに医師に相談を
花粉症に悩む場合は、市販薬などで我慢しようとせず、できる限り早期に治療を開始することが、今後の日常生活を快適に乗り切るためのカギとなります。抗ヒスタミン薬のような従来薬を使用しても改善しない場合の治療として、2019年より抗IgE抗体オマリズマブを皮下注射するという新たな治療が保険適用にて受けられるようになるなど、花粉症治療の選択肢は広がってきています。将来的な症状の軽減・改善を目指す場合は、一度受診し医師に相談することが重要です。
メディカルノート