花粉症の根治を目指すなら今が始めるタイミング “舌下免疫療法”の効果とは
治療は3~5年ほど継続する
舌下免疫療法は3~5年ほど継続することで、将来的には薬を使わずに快適な生活を送ることが期待できるといわれています。 イタリアで行われた15年間の追跡調査*によれば、ダニの舌下免疫療法の最適な治療期間は4年であることが示唆されました。具体的には、治療終了後、3年間治療した場合は7年間効果が持続し、4年間もしくは5年間治療した場合は8年間効果が持続する、といった結果が報告されています。 ただし、この結果を日本に当てはめる場合、いくつかの問題点があります。まず、この研究はダニアレルギーに焦点を当てており、日本ではスギ花粉アレルギーが主要な問題であるという点です。さらに、使用された治療薬の投与量や投与方法が日本と異なるため、結果を直接適用することは難しいでしょう。そのため日本における花粉症の舌下免疫療法の最適な治療期間は明確ではなく、現時点では最低でも3年間の継続が必要であると考えられており、患者さんの状況に応じて5年の治療を推奨する場合もあります。この治療法では、最新の情報に基づいて適切なアプローチを選択することが重要といえるでしょう。 *Long-lasting effects of sublingual immunotherapy according to its duration:A 15-year prospective study
対象年齢は5歳以上。家族で始める舌下免疫療法
舌下免疫療法は5歳以上から受けることができ、家族全員が治療に参加することが可能です。子どもに対する舌下免疫療法の安全性や効果について15歳未満の子どもと15歳以上の成人を対象に調査した研究*では、子どもと成人での治療効果に差はなく、治療患者は未治療患者よりも症状が有意に改善したことが報告されています。しかも、子どもは無投薬・無症状まで著明に改善した例が成人よりも多かったといいます。また、副反応の出現についても重篤なものはみられず、治療を中断する例はありませんでした。この結果からも、子どもでも成人でもスギ花粉の舌下免疫療法は効果的で安全であることが分かります。 近年、子どもの花粉症患者は増加傾向にあります。くしゃみや鼻づまりなどの症状は集中力を低下させるなど、お子さんの日常生活に悪影響を及ぼしかねません。お子さんがくしゃみを連発するなどの症状があれば、ぜひ一度検査を受けることをおすすめします。子どもの時期に治療を開始すれば、早めに完治に近い状態にまで改善することが期待でき、その後長きにわたって花粉症に悩まされる心配の軽減につながるはずです。