中国のアナリスト、痛み伴うリストラ始まる-株式調査の有用性低下
質の低下
中国のアナリストは当局からの指導で調査リポートでのコメントや記述にもますます注意を払わなければならないようになっており、株式の投資判断で「売り」とすることはめったにない。
否定的な投資判断が出されると、不本意な注目を浴びることもある。ゴールドマン・サックス・グループのリサーチアナリストが昨年夏、中国の大手銀行銘柄を「売り」とすると、政府系の新聞はゴールドマンを批判。中国の銀行に対する弱気な見方がその理由だ。
CICCは23年終盤、私的な議論であれ公の場であれ、弱気な発言をしたり、経済や市場について否定的なコメントをしたりしないようアナリストに警告。業界はまた、リサーチコンテストで票を獲得するため、顧客を招いたパーティーを派手に行ったというスキャンダルにも悩まされている。
マネーマネージャーらは、こうしたことが中国における証券会社のリサーチの質を低下させていると主張している。
中閱資本の孫氏は「洞察力に乏しい、同質的で役に立たないリサーチが市場にあふれている」と指摘。孫氏によれば、手数料を得なければならないというプレッシャーから顧客に取引を働きかけるようになったアナリストもいる。そのためアナリストは「広報のような仕事」をしているという。
証券会社にとっての課題をさらに深刻にしているのが、金融セクターに対する監視の厳しさと、中国共産党の習近平総書記(国家主席)が所得格差是正を狙い推し進める「共同富裕」運動だ。
外国の金融機関も1年余り前から中国に特化した人員削減を行っており、アジアで働くウォール街金融機関のシニア投資バンカーの多くは、報酬がここ20年近くで最も低い水準に落ち込んでいる。
一部の証券会社が昨年、出張手当を縮小すると、証券各社はコスト削減を強化。少なくとも中堅証券会社2社が出張経費に上限を設けたと、事情を知る2人の関係者が明らかにした。
そのうち1社は、顧客接待の予算を人数にかかわらず1回の食事当たり200元、つまり4300円程度に制限した。