中国のアナリスト、痛み伴うリストラ始まる-株式調査の有用性低下
この手数料収入のおかげで、証券会社はリサーチチームを積極的に拡大し、アナリストに競争力のある給与パッケージで手厚く報いるようになった。
中閱資本のデータによると、国内のセルサイド調査アナリスト数は過去10年間で70%近く増え、現在4800人余り。中国の大手投資銀行、中国国際金融(CICC)は300人以上の公認アナリストを抱え、中信証券は200人近いリサーチアナリストを雇用している。
ヘッドハンティングを手がける伯楽のディレクター、ブルック・チャン氏によれば、「新財富」のような人気リサーチコンテストで上位に入ったシニアアナリストは簡単に年収1000万元を得ることができたという。
経験10年のアナリストの基本給は約80万元、経験5年なら約50万元が一般的だと、金融プロフェッショナルの採用を専門とするチャン氏は説明。年間ボーナスは通常、基本給の約10-12カ月分に相当するが、良い年には24カ月分に達し、悪い年には3カ月分になることもある。
だが、中国が昨年終盤、公募投資ファンドが支払う取引手数料の引き下げなどを提案したことで、この流れが変わりつつある。加えて本土株の指標CSI300指数は23年、年間ベースで3年連続下落。投資家は本土株式市場への資金投入に消極的になり、その結果、株式調査の需要が低下している。
自己勘定取引や投資銀行業務といった他分野の成長も抑制され、証券会社はコスト削減を余儀なくされている。当局の株式市場救済策は、証券会社の自己勘定取引デスクによる空売りや売り越しを抑制した。
中国では昨年、新規株式公開(IPO)が急減速し、投資銀行の収益に打撃を与えた。政府が上場規則を厳格化し、IPO関連の不正行為に対する監視を強化しており、低迷は続くと予想される。
中国証券業協会のデータによると、中国証券会社の合計利益は22年に20%余り減少し、3年続いた増益を止めた。23年の利益はさらに3%減った。