挑む、本県出身隊員 やましん南極通信部~第66次観測隊
【昭和基地=鶴岡支社・近岡国史】第66次南極地域観測隊には記者を除き本県出身者が2人いる。いずれも越冬隊員で、機械設備担当の東海林貴(たかし)さん(52)=元・三機工業営業統括本部営業課長、最上町出身=と、医療担当の荒木修(おさむ)さん(48)=元・上都賀総合病院(栃木県)呼吸器外科部長、鮭川村出身=だ。極地の厳しい冬に挑む2人の人柄や活動内容を紹介する。 機械設備担当・東海林さん(最上) 東海林さんは鶴岡工業高等専門学校、山形大工学部を経て同大大学院修士課程を修了し、空調・衛生・電気設備の設計、施工の三機工業(東京)に入社した。主に工場建設現場での施工管理を担当。東北支店(仙台市)勤務時代は鶴岡市などで仕事し、タイの子会社に出向した経験もある。 今も年に数回は帰省し、食卓では県産米「つや姫」を好む。会社のイベントでは県産酒を差し入れするなど地元をアピールしている。本県のスポーツ県民歌に思い入れがある。県外で同じ年代の本県出身者と懇親する機会があり、一緒に歌って盛り上がるなどコミュニケーションツールになっているという。
南極に興味を持ったのは、会社の同期が第62次隊に参加することを知ったのがきっかけ。「自分も新しいことにチャレンジしたい」と社内公募に手を挙げた。昭和基地では空調や造水装置を中心に機械設備全般の保守管理を担う。極寒の地で快適な環境を維持し、飲み水など生活用水を確保する重要な仕事だ。「万が一の事態にも冷静に対応し、隊員たちの生活を守っていきたい」と活動に励む。 雪国生活には慣れているため、除雪や雪道の歩行・運転は苦労しないはずだ。プライベートではイベントなどに積極的に参加し、隊員同士で楽しい時間を共有したい、と考えている。「南極に来なければ出会えないような人たちばかり。人との交流を今後の仕事や人生に生かしたい」と目標を掲げている。 医療担当・荒木さん(鮭川) 荒木さんは新庄北高から独協医科大、同大大学院博士課程を経て呼吸器外科医として主に肺がん治療などに携わる。医師を志したのは地元に病院や医院が少なく、医療過疎を何とかしたいとの思いからだった。数年後には本県に戻ることを決めている。