挑む、本県出身隊員 やましん南極通信部~第66次観測隊
県内には思い出がたくさんある。実家近くの坂道を登り切った先から見える里山の風景は忘れられない。川で素潜りして魚を捕まえたことも印象深い。現在も年1回は帰省している。 2011年の東日本大震災時、半倒壊した福島県郡山市の病院に勤務しており「困難な状況に逃げずに立ち向かえた」ことが自信となり、漠然と憧れを抱いていた南極への挑戦心が湧いた。その後、医師として20年の節目や、2人の子育てが一段落したことなどから、全国の医師を対象とした公募に立候補した。 昭和基地には手術室をはじめ、エックス線や胃カメラなどの医療機器を備えており、簡単な全身麻酔手術もできる。南極行きに向けて専門外の診療も最善を尽くせるよう、消化器外科や整形外科の処置、リハビリ過程の勉強をしてきたという。基地到着後は第65次越冬隊から引き継ぎを受けながら建設部門の力仕事も積極的に手伝っている。 「全員が無事に帰国できるよう、まずは自分がけがや病気をしないことに注意したい」と荒木さん。南極生活を記録に残すことを楽しみにしており「大自然を体感し、若い世代にも伝えたい」と意欲を見せる。