なぜ京都に阪神高速があったのか? 消えた阪神高速8号京都線と京都高速道路の謎。【いま気になる道路計画】
京都から消えた阪神高速と幻となった道路計画
京都高速道路の「久世橋線」「堀川線」「西大路線」について、「京都市高速道路検証専門委員会」で議論されたのは、都市計画決定(1993年)から20年近くが経過した2012年のことだった。 京都高速道路は、社会福祉関連経費の増加や防災・減災対策を優先する京都市の政策方針、厳しい財政状況も影響し、事業着手の見込みが立たない状態が続いていた。 同委員会では、高速道路へのアクセス性向上と所要時間短縮の効果、災害時の代替性としての機能、渋滞損失時間の削減や交通事故の軽減効果などの観点から必要性を検証。 その結果、既存の油小路線や新十条通(稲荷山トンネル区間)の整備により一定の効果は達成しており、これ以上の高速道路整備が市内全体のネットワークに大きく寄与するとはいえないと判断された。 一方、阪神高速の“飛び地”だった8号京都線も、国土交通省が発表した「近畿圏の新たな高速道路料金に関する具体方針(案)」に基づき、圏内高速道路の料金体系の整理・統一とネットワーク整備の観点から、2019年4月1日をもって、NEXCO西日本と京都市に移管されることになった。 確かに、8号京都線はNEXCO西日本の第二京阪道路と接続しているのにも関わらず、接続していない阪神高速道路の料金体系が取り入れられていて、利用者にとって非常にわかりにくいものだった。 幻となった京都高速道路計画だが、阪神高速8号京都線から第二京阪道路の一部となった「油小路線」と京都市道となった「新十条通」は、市内の渋滞緩和に貢献しており、計画当初の役割を果たしている。
文=KURU KURA編集部 資料=阪神高速・NEXCO西日本・京都市