森川葵の圧巻の芝居…イライラしながら見ていた”篠谷”のことが好きになれたワケ。 ドラマ『放課後カルテ』第6話考察レビュー
子供は見てないようで見ている
最後に篠谷が突き進んできた道も間違いばかりではなかったことがわかる。一時は全員が自分のことを避けているように見えた生徒たちが、実は自分のことを心配して牧野のもとに相談へ来ていた。 子供は見ていないようで見ている、聞いていないようで聞いているという事実は教師だけではなく、子を持つ親にとっても勇気を与えるラストになったはずだ。 児童だけではなく、教師の葛藤も描いた第6話。篠谷を演じる森川の演技力は今さら言うまでもないが、徐々に疲弊していく様子から、苦悩を打ち明け、そして自分自身を見直して生徒と向き合うまで圧巻。生きていれば多くの人が通ったことがあるそれぞれの状態を丁寧に拾い上げ、篠谷という人間の輪郭をくっきりと浮かび上がらせた。 森川のそうした力もあって、なかなか感情移入しづらかった篠谷のことを少し好きになれたという人もきっと少なくないだろう。牧野との出会いを通して成長したという点においても重要な回となっていた。 【著者プロフィール:まっつ】 1993年、東京生まれ東京育ち。本職はスポーツウェブメディアの編集者だが、エンタメ・お笑いライターとして修行中。1週間に20本以上のラジオを聴く、生粋の深夜ラジオ好き。今一番聴くべきラジオは『霜降り明星のオールナイトニッポン』。好きなドラマは『アンナチュラル』、『いちばんすきな花』、『アンメット』。
まっつ