森川葵の圧巻の芝居…イライラしながら見ていた”篠谷”のことが好きになれたワケ。 ドラマ『放課後カルテ』第6話考察レビュー
松下洸平主演のドラマ『放課後カルテ』(日本テレビ系)が放送中。本作は、小学校に赴任した口も態度も悪い小児科医が、類稀なる観察眼で児童の異変に気付き、未来へ向かう子どもたちの背中を押す保険室ヒューマンコメディ。今回は第6話のレビューをお届けする。(文・まっつ)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】 【写真】森川葵の圧巻の芝居…貴重な未公開写真はこちら。ドラマ『放課後カルテ』劇中カット一覧
生徒からの悪口に苦しむ篠谷(森川葵)…。
先生も一人の人間なんだ。 『放課後カルテ』(日本テレビ系)を見ていると、そんな当たり前のことに改めて気付かされる。 16日に放送された第6話。初めて6年生の担任を持った篠谷(森川葵)は日々の業務に忙殺され、寝坊が目立つように。不眠と食欲不振が続く中、「篠谷先生としゃべった人、ムシしようね」と書かれたメモ書きを教室で発見し、心身ともに追い詰められていく。 『放課後カルテ』に限らず、いわゆる学園モノのドラマを見ていても、教師というのは最も大変な職業だと感じる。子供の成長と密接に関わっているし、職員室内での同僚はもちろん、子供の親とも向き合わなければならない。成長を誰より近くで見ることができるのが大きなやりがいとなることに違いはないが、同時に大きな責任感も伴う。 人に頼るのが苦手で、すべてを抱え込んで追い詰められる篠谷を端から見ていると同情してしまうが、全国の教職員はまた違う感情を持ったのではないだろうか。 そんな苦境に陥っていく篠谷を牧野(松下洸平)は当然見逃さず、鉄欠乏性貧血と診断する。しかし、篠谷は「ただの貧血」と牧野の忠告を無視し、学校で倒れてしまう。さらに、「授業も担任も持たない保健室の先生にはわかりませんよ。忙しい上に色々あるんです」と言い放つ。
「みんなのことが知りたい」 寄り添うための第一歩
思えば、篠谷はここまで視聴者の不満をためやすいキャラクターだった。生徒に寄り添いたいという思いが先行して空回りし、もっと頼られたいという気持ちから牧野にも嫉妬してしまう。 教師としても人としてもまだまだ未熟であることが強調されてきただけに、「どうしていつもそうなるんだ?」といらだちにも近い感情が見て取れる牧野は視聴者の思いも代弁する。 気を張っていても睡眠不足であれば、子供たちの些細な変化にも気付けない。働きたいという意欲があってもベストパフォーマンスにつながらないと指摘する牧野の語気は強いが、「自分はその程度だと自覚すること」こそ今の篠谷に必要なこと。 篠谷を少しイライラしながら見ていたはずが、時間に追われがちな現代人にも当てはまる言葉には思わず耳が痛くなる。 ようやく少しずつ心身の健康を取り戻し始めた篠谷。次に向き合ったのは受け持ちの生徒である凛(中田煌理)だ。クラス内での同調圧力に惑わされる彼女はコンビニで色付きリップを万引きしてしまったが、篠谷は姿を見ながら声をかけることはできなかった。 しかし、そんな彼女との問題を解決するため篠谷は動き、保健室で自分自身も泣いたと打ち明ける。 さらに、「みんなのことが知りたい」とまっすぐに伝える姿は、第4話で「お前のことを助けたい」と生徒に語りかけた牧野ともどこか重なる。確かに篠谷は、子供たちに“寄り添う”ための一歩目を踏み出すことができたのではないだろうか。