まさかの結末……失格によりF1での勝利を逃した、過去5人のドライバーたち。ラッセルは通算6人目
2024年のF1ベルギーGPでトップチェッカーを受けたのは、上位勢では唯一となる1ストップ作戦を選択したメルセデスのジョージ・ラッセルだった。彼はオーストリアGPに次ぐ今季2勝目を挙げたかに見えたが、レース後の計量で車両重量が規定されている最低重量を1.5kg下回っていることが発覚。これにより失格処分を受けることになった。 【ギャラリー:美しきF1マシン】ベルギーGP失格も王者に! シューマッハー初のチャンピオンマシン”ベネトンB194” トップチェッカーを受けたにもかかわらず失格により勝利を失ったのは、なにもラッセルが初めてではない。ラッセルの前にも、5人のドライバーが失格により勝利を剥奪されている。
ジェームス・ハント(マクラーレン):1976年イギリスGP
繰上げ優勝:ニキ・ラウダ(フェラーリ) 映画「ラッシュ」でも描かれた1976年シーズンのF1は、まさに激闘だった。その主役はマクラーレンのジェームス・ハントとフェラーリのニキ・ラウダ。そしてハントは、第4戦スペインGPで失格を言い渡されることになった。 ハントはこのレースで圧勝。後続に30秒以上の差をつけてトップチェッカーを受けた。しかしレース後、ハントが乗るマクラーレンM23がレギュレーションよりも1.5cm幅が広いとして失格に、ラウダが繰り上がり優勝とされた。 しかしこの件についてマクラーレンは抗議。結局2ヵ月後に判定が覆り、ハントが勝者に返り咲いた。 ただこれでは終わらなかった。スペインGPの失格が取り消されてから2週間後のイギリスGPで、ハントは改めて失格となったのだ。 スタート直後、ラウダと接触したことでスピンしたクレイ・レガッツォーニのマシンにハントが接触。これでサスペンションを壊してしまった。ハントはコースをショートカットし、マシンをピットに戻したが、レースは赤旗中断。この赤旗中断の時ハントはコース上にいなかったため、当時のレギュレーションでは、再開後のレースに再出走することは認められなかった。 ただイギリスはハントの母国。観客の暴動を恐れて、スチュワードはハントを再開後のレースに出走することを許してしまった。そしてハントが優勝を手にした。 しかしこの件についてはフェラーリやティレル、フィッティパルディらライバルチームが抗議。2ヵ月後にハントの失格が確定した。 ただこの年はラウダが大クラッシュの影響で2戦欠場。チャンピオン争いは大激戦となったが、わずか1ポイント差でハントがタイトルを掴み取った。