「トランプ関税」の足音におびえるアジア株市場、日本例外の可能性も
ペッパーストーンのウー氏は、トランプ氏の1期目にはトヨタ自動車やソニーグループ、パナソニックホールディングス、東京エレクトロンなど日本を代表する大手企業が税制優遇を追い風に生産と販売を大幅に伸ばしたと指摘する。
米国第一主義とシンゾー不在
とはいえ、グローバル投資家の間ではトランプ氏の米国第一主義が世界経済を弱体化させるリスクに警戒感も強い。スイスのUBSグループのエコノミストは、2026年の世界経済の成長率が2.9%から2%に減速する可能性があるとみる。
フィリップ証券の笹木和弘リサーチ部長は、トランプ政権の1期目は「世界経済全体の減速懸念が強まった時期」だと分析。国内総生産(GDP)に占める日本の輸出比率は欧州よりも若干低いが、輸出関連銘柄の日経平均株価に与える感応度は非常に高いと述べた。
また、前回のトランプ政権時は日本の安倍晋三元首相が良好な首脳関係を築いたことで、日米両国が対立するような大きな問題は起きなかったが、安倍氏は既に故人となった上、石破茂首相とトランプ氏がどれだけの信頼関係を構築できるかどうかは不透明な部分がある。
トランプ氏が前回大統領の座にあった17年1月から21年1月の日本株のパフォーマンスは米国や韓国株には及ばなかったが、ドイツや中国を上回った。今回の大統領選でトランプ氏の勝利がほぼ決まった6日以降の動きを見ると、MSCIジャパン指数は21日時点で1%超下落しているのに対し、MSCIチャイナは約4%、MSCI韓国は約3%下げている。
キャピタル・ドット・コムのシニア市場アナリスト、カイル・ロッダ氏は「日本株はトランプ氏2期目の恩恵を受ける可能性がある」と指摘。最大の理由は「各国と米国の二国間関係が経済力や市場のパフォーマンスを決めるゼロサムの世界に戻りつつあるためだ」と語った。
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Aya Wagatsuma