トビタテ!留学JAPANが後押し、中高生向け「大使館ツアー」留学意欲を高める仕掛け
「失敗おめでとう」と言えるプログラム、大人も応援を
高校生たちへの働きかけは#せかい部の発信だけにとどまらない。西川氏は全国の高校で講演を行うなど、留学や奨学金プログラムへの応募を呼びかけているが、本人の意思以外にも、世界への挑戦を阻むものがあると感じている。 「受験勉強や部活動が最優先にされる学校では、留学を志すこと自体へのハードルが高くなります。『英語ができる優等生が行く特別なもの』という認識が学校全体にあって、奨学金の存在自体を生徒に広めてもらえないことも。こうした意識の差もあってか、とくに留学する高校生の数には地域差が大きく表れています」 この地域差を解消するため、「新・日本代表プログラム」には新たに「地域応援枠」も設けられた。これまで高校生の留学者が少なかった都道府県からも、バランスよく確実に派遣留学生を選抜しようというものだ。 奨学金は大学生と高校生等を対象にしており、支援を受けるには書類と面接による選考を通過する必要がある。応募するコースにもよるが、倍率は平均で3~5倍程度となっている。学校の成績を問うわけではないが、最初から「うちの生徒には無理」とあきらめがちな学校もあるそうだ。西川氏は、まずは大人の間に漂うこうした空気を変える必要があると言う。 「確かにこの奨学金は応募すれば受給できるものではありませんが、落ちてしまったとしても、応募した経験自体が必ず価値を生み出します。何がしたいのかを問われること、自己分析を重ねること、それを言葉にして相手に伝えること。これらはその先の人生で必ず役立ちますし、近いところでは大学受験や就職活動の練習にもなりますよね。 #せかい部メンバーの選考も奨学金プログラムの応募も、一度落ちても繰り返しチャレンジして、三度目の正直などで合格を勝ち取った生徒もいます。海外留学した先にも失敗はつきもので、だからこそ価値がある。トビタテには『失敗おめでとう』という文化もあります。大人こそ失敗をプラスに捉えて挑戦を応援する空気を作っていかないと、内向きといわれる現代の若者を変えることもできないと思います」 若いうちにたくさんのチャレンジをし、世界を見て視野を広げることの重要性を訴えた。 今後も大使館ツアーは随時行う予定。申し込みは開催が決まり次第、#せかい部公式noteから受け付ける。 (文:鈴木絢子、写真:#せかい部提供)
東洋経済education × ICT編集部