トビタテ!留学JAPANが後押し、中高生向け「大使館ツアー」留学意欲を高める仕掛け
現地の食べ物や民族衣装を体験…政策への鋭い質問も
西川氏はこれまでのツアー内容について簡単に説明するが、それは話を聞くだけでも実に楽しそうだ。 例えばスウェーデン大使館の中には、世界一臭いといわれる缶詰「シュールストレミング」のほか、現地のお菓子などが買える自動販売機が設置されている。なかなか手に入らないお土産を求めて、ツアー当日は参加者が自動販売機に行列を作ったそうだ。 また、昨年のエジプト大使館ツアーでは、職員が伝統的なエジプトのスイーツを人数分手作りして配ってくれたうえ、男女それぞれに民族衣装を着せて撮影会までさせてくれたという。これだけだと物見遊山に終わってしまいそうにも思えるが、参加者は学びもしっかり持ち帰っていると西川氏は補足する。 「スウェーデン大使館では福祉政策について、カナダ大使館では多文化共生社会についてなど。その国の政治の特色を踏まえたうえで、かなり高度な質問をする高校生もいます。しかも堪能な英語でやり取りする子もいるので、ほかの参加者にとってもいい刺激になっているようです」 実際、イベント後のアンケートでは「ほかの参加者に圧倒された」「自分ももっと勉強しようと思った」「留学してみたくなった」などという回答も見られるという。こうした参加者の心の動きは、いわば西川氏の狙いどおりのものだ。 ほかの国の大使と会ってみたり、ほかの参加者に触発されたりという経験を通じて、中高生が「自分にもできるかもしれない、やってみたい」と前向きになってくれたら――西川氏はそう考えている。#せかい部の活動はもともと、留学や、トビタテによる留学支援の奨学金プログラム「新・日本代表プログラム」への挑戦を促す目的で開始されたものだったからだ。 「せっかく返済不要の奨学金制度があるのに、そもそも高校生がなかなか留学にチャレンジしてくれないという課題があります。たとえ外国に興味があっても『大人になってから行けばいい』とか『自分ではきっと無理』などと考えて、挑戦をためらってしまうのです。そこでまず海外を身近に感じてもらうため、同世代のメンバーが世界で積極的に活躍する姿を見てもらおうと考えたのです」