バイオプラスチックのポリ乳酸、海洋での分解に道 伸びも改善 産総研など
生分解性については、LAHBをブレンドしたポリ乳酸を海水中に置き、有機物が微生物によって分解されるときに消費される酸素量を測るBOD(生化学的酸素要求量)試験を行った。LAHBだけが分解した場合の理論値である生分解度約22%を超え、停電で実験が終了した155日までに生分解度が50%近くまで達した。
高温高湿でない海水中でポリ乳酸が分解される仕組みについて今井研究グループ長は「まず表面にでているLAHBを微生物が分解することで、プラスチック中には微生物の入り込んだたくさんの細かい穴ができたような状況になる。LAHBをほぼ分解し終えた微生物は、周囲に残っているポリ乳酸も分解しようとしているのではないか」と話している。
今後は、ポリ乳酸の分解性が高くなるLAHBの混合比やナノレベルの構造を調べ、バイオ資源由来プラスチック材料としての実用化を目指す。
研究は神戸大学、カネカと共同で行い、成果はオランダの科学誌「インターナショナル ジャーナル オブ バイオロジカル マクロモレキュールズ」の電子版に3月19日掲載された。